
メダカの水槽を観察していたら、いきなり岩陰にメダカの卵が産み付けてあったり、稚魚が泳いでいるのを見かけてビックリしたことはありませんか?

私が初めてメダカの稚魚を見つけた時は、ホントどうしていいかわかりませんでした。

慌ててメダカの稚魚をスポイトで吸ってコップに入れましたが、結局うまく育てられずに死なせてしましました。

産まれたてのメダカの稚魚・針子を元気に育てるには、どのように飼育したら良いのでしょうか?

そこで今回は、メダカの稚魚(針子)の生存率を高める飼育方法について解説をさせていただきます。

みなさまは、メダカの稚魚を育てた経験はありますか?
メダカの稚魚を育てることは、メダカ飼育の楽しみの中でも、大きなウェイトを占める大イベントですよね。
私もメダカの飼育を始めたばかりの頃、メダカの稚魚や針子飼育がうまくいかずに、何シーズンも失敗を繰り返しました。
頑張って飼育しているのに、なかなかメダカの稚魚が元気に育ってくれないと、凄く悲しくて苦しくて、とても悩んでしまいますよね。
簡単そうに思えるメダカの孵化から稚魚までの飼育。
実は、メダカを卵から成魚までしっかり育てるためには、最低限の知識とテクニックが必要です。
今回は、初心者のみなさまが悩まないでいいように、メダカの稚魚を元気に大きくするための飼育方法を解説させていただきます。
- 1 メダカの稚魚が1cm以上に育たないと越冬は難しい
- 2 メダカの共食いの防止にホテイソウや産卵床を使って成魚から卵を隔離することが大切
- 3 メダカの稚魚の飼育水槽にはホームセンターでも通販でも買えるわけぷかがおすすめ
- 4 メダカの稚魚・針子の成長過程・サイズ毎の飼育方法について
- 5 メダカの稚魚の屋外飼育(外飼い)のメリットとデメリット
- 6 メダカの稚魚の室内飼育のメリットとデメリット
- 7 メダカの針子の餓死を防ぐために必要なこと
- 8 メダカ水槽へエアレーションを行うメリットとデメリットについて
- 9 メダカ稚魚・針子飼育に最適な水温とは
- 10 生存率を高めるためのメダカ(稚魚・針子含む)の共食い対策
- 11 メダカ(稚魚・針子含む)の飼育水槽の選び方について
- 12 メダカの稚魚(針子)の害虫対策について
- 13 最後に
メダカの稚魚が1cm以上に育たないと越冬は難しい

メダカの産卵は、水温が20℃を超えるようになる5月頃から、水温が下がりだす10月頃まで見られます。
ただし、メダカの稚魚が健康に冬を越す目安として、8月末で採卵を止めるのが一般的となっております。
8月末に採卵できれば10月~11月には1cmを超えてくるので、寒い期間の越冬も安心です。
詳しいメダカの産卵方法と卵の増やし方については、以下の記事をご確認ください。
メダカの共食いの防止にホテイソウや産卵床を使って成魚から卵を隔離することが大切
ショッキングだと思いますが、メダカは共食いをする生き物です。
ですから、メダカの卵や稚魚を成魚と同じ水槽で育てると、殆どの針子が成魚に食べられてしまいます。
稀に水槽中にホテイアオイなどをいれておくと、メダカの針子がホテイ草の根の中に隠れながら生き残ることもあります。
しかし、殆どの稚魚は親メダカに捕食されてしまうので、メダカの稚魚の生存率を高めたい場合には、メダカの稚魚・針子を成魚から隔離して育てる必要があります。
具体的には、卵の段階で親メダカから隔離して、稚魚が1.5㎝程度に大きく育つまで、しっかり守りながら育ててあげる必要があります。

メダカの卵の隔離には、このようなメダカの産卵床を活用すると簡単です。


あっ!

最後にも書いてますが、水槽の傍で市販の殺虫剤を使用すると、殺中剤が水槽の水に溶けて込んでメダカが死んでしまいます。

メダカに殺虫剤は危険なので注意してくださいね。
室内でメダカや稚魚・針子を飼育される方は、ワンプッシュ〇〇みたいな殺虫剤の使用は絶対禁止です!!
メダカの稚魚の飼育水槽にはホームセンターでも通販でも買えるわけぷかがおすすめ

メダカの針子の最初の飼育水槽に悩んだら、大きな水槽へ浮かせて使える”わけぷか”がおすすめです!
”わけぷか”は大きな水槽に浮かせて使うタイプの隔離型の飼育水槽です。
メダカ飼育に使う水槽は、大型で水量が多いほど飼育水が汚れにくいので安心ですよね。
NVボックスの22Lサイズなら、わけぷかが綺麗に4個収まるので、セットで購入すると使いやすいです。
私も選別中の品種のメダカを累代するときには、便利なわけぷかを愛用中です。



メダカの稚魚・針子の成長過程・サイズ毎の飼育方法について

ここからは、メダカの稚魚の成長過程について、体長と孵化後の日数で分けて解説していきます。
メダカの卵が孵化してから最初の3日間の針子の育て方
一般的に孵化から孵化後2週間の稚魚を『針子』と呼びます。
孵化から3日間、針子はお腹にぶら下がったヨークサックと呼ばれる栄養袋の中にある栄養を摂取して生きています。
ですから孵化後3日間の針子は餌を食べません。
孵化後3日目から2週間のメダカの針子の育て方
孵化から2週間目までのメダカの針子は、透明から黒まで体色は様々。
中には黄金の輝きをまとっている針子もいます。
孵化後2週間のメダカの針子は、まつ毛のような体格で泳ぐことがとても苦手で、深く潜ることもできません。
またメダカの針子は口が小さく、大粒の餌を食べることができないため、この時期の針子の死因No.1は餓死です。
メダカは胃袋を持っていない生き物なので、人間のように食い溜めして活動することができません。
胃袋を車のガソリンタンクと思えばイメージしやすいと思います。
メダカはガソリンタンクがない車の様のもので、常に給油しながら生きているイメージです。
そのため、針子たちは今必要な栄養素を今食べる必要があり、常に何か栄養になるものを摂食しながら生活しています。

体も口も小さなメダカの針子たち。
メダカの稚魚へ大人用の餌をすり潰して与える餌やり方法もありますが、稚魚専用の餌は成魚用より粒が細かく、沈みにくく作られています。
泳ぎが苦手な針子は、成魚のように沈んだ餌をつついて食べることができないので、餌が水底に沈んで水を汚さないよう、沈みにくい餌を使うことが大切です。
そう言った理由から、私はメダカの稚魚の餌は、稚魚専用品の使用をおすすめしています。



一般の愛好家の方でしたら、メダカの針子の餓死対策の餌のはゾウリムシが簡単です。
ゾウリムシは殆ど水分で栄養価は低いのですが、メダカの針子が確実に食べれる生き餌なので、メダカの生存率(歩留まり)を高める効果が高い餌といえます。
ゾウリムシは生き餌の中で、断トツに増やし方が簡単な餌なので、初心者の方へおすすめです。
ただし、エビオス錠などを培養餌にしてゾウリムシを育てると、ゾウリムシの培養液中にアンモニアが出るので、必ず濾紙などで水分を濾し取ってからメダカへ与えるようにしてください。
ちなみに、私はメダカの針子の餌にブラインシュリンプをメインに使用しています。
ブラインシュリンプと聞くと難しそうですが、意外に簡単ですよ!

孵化後2週間目からのメダカの稚魚の飼育方法
孵化から2週間が経過すると、呼び名も針子から稚魚(私は幼魚と呼んでいます)に変わり、頭からお腹付近が膨らみを帯びて、見た目が少しづつメダカらしくなり始めます。
元気に泳ぎ、餌もよく食べ安心して育てることができるようになってきます。
順調に育てば、孵化後1カ月で体長1㎝前後まで成長し、徐々に親の水槽に入れることも可能になります。

動画内で使用しているメダカの飼育水槽はこの容器です。


メダカが針子から稚魚と呼べるサイズまで成長したら、オオミジンコやタマミジンコを与えてみましょう!

メダカの稚魚が競うように生き餌を食べて一気に成長してくれますよ。



成魚に混ぜる際は、稚魚を1匹だけを混ぜてしまうと、成魚から1点集中で追い回され、ストレスで弱ってしまうことがあります。

可能な限りメダカの稚魚は、10匹程度をまとめて成魚に混ぜることをおすすめします。
メダカの稚魚の屋外飼育(外飼い)のメリットとデメリット
屋外で針子を飼育している場合は、水の中に植物プランクトンや動物プランクトンなど餌となる微生物が自然発生し、針子たちは微生物を食べて大きく育っていきます。
そのため、餌不足による餓死のリスクが低いことが屋外飼育の最大のメリットです。
その他、稚魚の餌にもなるグリーンウォーター※1(植物プランクトンが沸いた水)は、濾過バクテリアの生物濾過と複合して、かなりの水の浄化作用を発揮します。

体に日光が当たることで、様々なビタミンを生成することができるので、そういった意味でも屋外は健康に育ちやすい環境と言えます。
※1グリーンウォーターとは屋外に放置した水に植物プランクトンが繁殖し、色が緑色に染まった状態の水を差します。植物プランクトンは水の中の過剰な栄養を吸収し、稚魚のエサにもなるので、メダカの飼育には欠かせない存在です。
反面、屋外は雨の降り込みによる水質の変化、夏場ですと急激な水温上昇、ボウフラなどからの食害など様々なリスクに晒されることがデメリットになります。
メダカの稚魚の室内飼育のメリットとデメリット

室内飼育はメリットデメリットが屋外と真逆になります。
室内は温度変化が小さく、場合によってはヒーターで加温して水温を一定に保つこともできます。
ボウフラなどが発生しにくいので、食害のリスクも低いです。
逆に太陽光が当たらないため、自らビタミンを生成する作用は限定的。
ろ過バクテリアの活性も低く、飼育水が自然にグリーンウォーター化しないため、水質が悪化しやすく、餌にも不自由しがちです。
そのため、室内飼育では餓死と水質悪化が最大の問題になります。

室内のメダカ飼育でも、工夫次第ではグリーンウォーターを作ることができます。ご安心ください!

冬のメダカの室内飼育でも、ご安心ください!
最初に述べましたが、メダカの針子は今必要な栄養を今食べる必要があります。
しかし、粉の餌を1日分とか半日分まとめて与えても、すぐに食べれなかった餌は水底に沈み、誰からも食べられることなく水底で腐って飼育水を悪くします。
そのため、粉の餌で育てる場合は、餌を数分間で完食できる量しか与えることができす、針子が1日中食べれる環境を作るためには、数時間おきに餌を与える必要があります。

理屈は分かっていても、家事や仕事で忙しいみなさまに、そんなマメな対応は無理ですよね・・・
ですから、室内で針子を元気に育てるために、スピルリナや生クロレラ、ゾウリムシ、ワムシ、ミジンコ、ブラインシュリンプなどの生き餌を使用すると安心です。
生き餌でなくても、屋外で仕上がったグリーンウォーターなどを用いる方法もあります。
ただし、室内にボウフラなどの外敵、プラナリア、貝類の卵など、水槽内で増えてほしくない生物を持込まないように注意する必要があります。
メダカの針子の餓死を防ぐために必要なこと

針子に最適な生き餌については、以下の記事をご確認ください。
先程ご紹介したゾウリムシの他にブラインシュリンプやミジンコも稚魚の餌に最適です。
私はブラインシュリンプをメインに、生後2週間を超えたらオオミジンコを与えています。


写真は針子にブラインシュリンプをあげているところです。


ミジンコの培養などに使われるのが生クロレラ。
グリーンウォーターと生クロレラ、見た目は似ていますが、結構違いがあるんです。
稚魚に対する使用方法も違いますので、詳細はこの記事で確認して下さい。


すり潰したスピルリナは消化吸収が良いのでおすすめです。
メダカ水槽へエアレーションを行うメリットとデメリットについて
メダカは水流が苦手で、強い水流の中で生活すると体力を消耗して弱ってしまします。
体が小さな針子であれば尚更で、僅かの水流でも体力を消耗します。
ですから、針子にはエアレーションをしない方も多いようですが、やはりエアレーションなしだと水が傷みやすく短期間での水質悪化が懸念されます。

私はこうやって水流問題を解決しています。
動画のように浮草を入れてあげると、浮草がエアレーションが生み出す水流を止めてくれます。
それに、グリーンウォーター内の植物プランクトンと同様に、浮草が過剰な栄養を吸収して水を浄化してくれるので、水流軽減と合わせて一石二鳥の効果があるんです。

エアレーションには賛否がありますが、この記事では私なりのエアレーションの必要性について解説しています。

メダカの稚魚・針子の水換え頻度と量について
いくら小さな針子だけの小型水槽でも、時間が経過すれば水質は悪くなっていきます。
最低でも1週間に1回は1/3~1/2の換水をしてあげてください。
注水を点滴法で優しく行うことで、小さく弱いメダカの稚魚・針子の水温・phショックを抑えることができます。


点滴式の水合わせ容器の作り方と、理想の水換え頻度については以下をご参照ください。

DIYが苦手な方は、このような水換え用の器具もあります。


メダカの 針子の水換えって、水ごと針子を吸って流してしまいそうで怖いですよね。
私はこの育成メッシュ中に、水の吸い込み口を入れることで、針子の吸い出し事故を防止しています。
魚を掬うネットを使用される方も多いですが、育成メッシュは自分で浮いてくれるので、支える必要がなくとても使いやすいです。



エアレーションや水換えについては、以下の記事を併せてお読みください。
メダカ稚魚・針子飼育に最適な水温とは
針子は水温25℃~26℃くらいが最も元気がいいように感じます。
これくらいの水温が維持できると餌食いも良いので、あっと言う間にすくすく育ってくれます。
ただし、水温が高いと水質悪化のリスクが高まるので、水の維持管理にはいっそうの注意が必要です。

水槽以外での水温管理には、このような水温計があると便利です。


室内でヒーターを使った加温飼育と、水質悪化の関連性については以下の記事をご参照ください。

生存率を高めるためのメダカ(稚魚・針子含む)の共食い対策
驚く方も多いと思いますが、メダカは親子でも共食いをする習性があり、それは兄弟も例外ではありません。
同じタイミングで採卵・孵化した兄弟でも個体差で成長にはバラツキがあり、大きく育った個体が小さな個体を追い回したり捕食しますので注意が必要です。

共食いと、餌の取り合いに負ける子が出ないように、定期的に5㎜、1㎝、1.5㎝くらいで水槽をグループ分けしてください。

選別の詳細は、以下の記事をご覧ください。

稚魚を選別飼育する際に、”わけぷか”と”わけぷか”が4個綺麗に収まるNVボックス22があると、凄く便利です。



メダカ(稚魚・針子含む)の飼育水槽の選び方について
一般的にメダカの飼育は、メダカ1匹あたり1L以上、可能であれば2L位の水量が必要になります。

10匹飼育するのには、水が10L以上入る飼育水槽が必要ってことです。
ただ、メダカの稚魚のうちはその限りではないので、将来的に大型水槽へ引っ越す前提であれば、それなりにメダカの稚魚が過密であっても問題はありません。
メダカの針子は深く潜ることが苦手であること、また水槽へエアレーションをしない飼育では、開口部が広く水中に酸素が溶け込みやすいことなどが大型水槽をおすすめする理由です。


写真の容器は水量13LのNVボックスです。


最近は、白い水槽でメダカを飼育する方が、メダカの体外光やヒレが良く伸びると言われているので、色褪せが心配な赤いメダカの飼育以外は、針子から稚魚の期間は白い水槽で育てることをおすすめします。

メダカの稚魚(針子)の害虫対策について
害虫と言って最初に思い浮かぶのがボウフラだと思います。
一般的なボウフラ対策は、無駄に水を貯めないであったり、ボウフラは銅イオンが苦手なので、水溜まりに10円硬貨を沈めるなどです。
実験をしたことがないので確証はありませんが、ボウフラが死ぬような10円硬貨は怖くてメダカの水槽にも使用していません。
念の為にネットを水槽の上に張るなど対策をしていますが、根本的な解決にはなっていないのが本音です。
トンボもお尻を付けて産卵する種と、上空から卵を撒く種がいるので、ヤゴ対策としてもネットは完ぺきではありません。
屋外の害虫対策は、現状まめな駆除しかないと思います。

メダカの室内飼育では、殺虫灯を使った殺虫機があれば完璧です。

スプレーなど殺虫剤は水に溶け込んで、メダカが死んでしまうから絶対に使用しないでくださいね!

最後に
今回はメダカの稚魚(針子)を元気に育てる方法を解説させていただきましたがいかがでしたか?
私もメダカ初心者の頃に、どんどん死んでいく針子を見にがら悲しい思いをしてきました。
頑張っても頑張っても、元気に育ってくれない時って、本当に苦しいですよね。
みなさまには、そんな苦しい思いはして欲しくありません。
この記事が少しでも同じ悩みを持つ方の助けになれば嬉しいです。
最後までご覧いただいてありがとうございました。
