メダカ飼育の楽しみの中に、繁殖や品種改良がありますよね。
春になって暖かくなると、自然にメダカたちの産卵が始まり、いよいよシーズン到来って気分になりますよね。
でも、キチンと卵を孵化させて成魚まで大きく育てるのは、意外に難しくないですか?
私がメダカの飼育をはじめたばかりの頃は、なかなか稚魚(針子)の生存率が上がらず、悩んでいた時期がありました。
稚魚の生存率は、孵化後2週間を乗り超えると、落ち着くと言われています。
初心者当時は、その2週間が1か月にも、2か月にも長く感じたものでした。
本当に、孵化してからの2週間は、気が抜けないですよね。
そんな私も、今では随分生存率が向上してきました。
みなさまも、生存率が悪くてお困りではないですか?
そこで今回は、私流の生存率の高め方について解説をしていきたいと思います。
メダカの生存率を高めるためには針子を過密にし過ぎないことが大切
メダカの孵化用の水槽に産卵床を入れておくだけで、たくさんの針子が孵化しますよね。
ですが、針子が孵化したままで放置して、どんどん過密になっていくのは危険です。
たくさんの針子を小型水槽で飼育していると、針子が成長するに従って、水槽が手狭になり、どんどん過密になってしまいます。
針子水槽が過密になると、糞などで水が汚れやすくなり、成長速度も遅くなるので、良い飼育環境とはいえません。
私は、必要以上に針子が過密になるのを防ぐために、できる限り水槽を分けるようにしています。
定番のNVボックス13であれば、20~30匹(水約500㏄に、針子1匹)くらいになるように、数を調整をしています。
メダカ飼育で定番のNVボックスとは、このような水槽です。
針子を移動する時には、選別網ではなく、レンゲやスプーン、水ごとネットなどを使って、水ごと移動するようにすると安心です。
私がおすすめする管理がしやすい飼育水槽
稚魚の飼育には、小型ですが頑丈なNVボックスや、大型のプラ舟があると便利です。
※夏の産卵が多い時期は、プラ舟など大型水槽で針子を飼育するので、細かく過密管理はしていません。
ただ、稚魚のサイズが1㎝を超えてきたら、水1~2Lに稚魚1匹になるように数を調整しています。
小さな稚魚(針子)は、成魚に比べて過密に強いのですが、あまりに過密になると、ストレスから成長に悪影響がでます。
そもそも、魚は過密な飼育環境が続くと、極端に成長が遅くなるので、注意が必要です。
また、飼育環境が過密になると、糞や食べ残しが過剰になりがちで、水が汚れやすくなるので水換えの頻度も増え、針子がストレスを受けやすくなってしまいます。
詳細は後ほど書きますが、稚魚はphや温度変化に敏感なので、水換えが多すぎると、水質の変化が負担になり、ダメージを受けて弱ってしまう可能性があります。
ですから、メダカの生存率を上げるためには、水換えの回数が過剰にならないように、水を汚さない工夫が大切です。
ですから、一番簡単な対策として、針子から稚魚の時期も、成魚同様に過密にならないように注意してください。
メダカのストレスを減らすためにも、水質悪化の予防の面でも、過密飼育は避けてください。
エアレーションを最小限に留めて針子を強い水流に晒さないことが大切
メダカは強い水流を苦手とする生き物なので、その稚魚が水流に弱いのも当然です。
水流が強すぎると、針子が泳ぎ疲れて死んでしまう原因になります。
メダカは池などの止水域(水が流れない場所)や、静かな小川が住処の生き物なので、強い流れが苦手です。
特に、孵化したての針子は、泳ぐのに適した体ではなく、泳ぐことが苦手なので、成魚以上に強い水流が危険です。
針子の飼育にあたっては、環境変化や水流を控えることに神経を割いてください。
夜間の水草による酸欠リスクについて
環境や条件が整えば、エアレーションがなくても酸欠にはなりません。
ただし、エアレーションをする方が、水の痛みを軽減できます。
また、植物は暗くなると酸素を消費するようになるので、水草が多い水槽には、夜間の酸欠リスクがあります。
※植物は、昼間に光合成をして二酸化炭素を酸素に置き換えていきますが、逆に夜間は酸素を消費するので、植物が多い水槽では酸欠対策が必要になります。
酸欠防止や、水の傷みを軽減する効果がある反面、メダカが苦手な水流を生み出す原因にもなるので、未だにエアレーションの導入は賛否が分かれます。
風による酸素供給の効果について
NVボックスやプラ舟などの開口部が広い水槽(広さに対して背が低い水槽)は、屋外で風が吹くと水面付近がかき回されて、そこから自然に酸素が溶け込むので、エアレーションがなくても酸欠にはなりにくいです。
でも、室内では風が吹かないので、自然に酸素が溶け込む量が少なくなりがちです。
ですから、室内飼育ではごく弱くエアレーションをする方が安心です。
特に、水草が多い水槽では、夜間の酸欠防止にエアレーションが欠かせません。
酸欠は、メダカの飼育数や微生物の量、植物の数などで可能性が変わってきます。
私は、水の傷みを軽減する効果もあるので、エアレーションをおすすめしています。
下の写真のように、水面にエアホースの輪を浮かべるだけで、水流を抑えることができるので便利です。
濃すぎるグリーンウォーターも酸欠の原因になる
屋外飼育でグリーンウォーターが濃くなりすぎると、夜間に植物プランクトンが酸素を消費して、メダカが酸欠を起こす可能性が高くなります。
グリーンウォーターが濃くなり過ぎた場合は、水換えで加水して濃度を薄くするか、酸欠防止に軽くエアレーションをするなどの対策が必要になります。
適度なグリーンウォーターは、メダカの餌になり、植物プランクトンが不要な栄養を吸収し、水を綺麗にする効果があります。
エアレーションを行うメリット
・水槽内への酸素の補給効果(稚魚・微生物・ミジンコ・バクテリアなどの育成に必要)
・水を循環させ水(※厳密には水中の有機物)の腐敗を防止する効果
上記のようにエアレーションには、多くのメリットがあります。
水流でメダカを疲れさせたくないので、できるだけ弱いエアレーションを行うようにしています。
下の画像からも、ほぼエアーが出ていないのが分かると思います。
エアレーションの必要性については、以下の記事をご覧ください。
左右同時にエアレーションをする場合もあるので、エアストーンを2本だしていますが、基本的に片側は止めて使っています。
小型水槽で、同時に2か所以上エアレーションをすると、波紋が交差して乱流が起きるので、針子の負担が大きくなり危険です。
基本的に、一つの水槽で2本同時にエアレーションをすることはありません。
針子に行うエアレーションの強さの目安
泳ぎが苦手な針子の場合、エアレーションはこれくらい弱めて行っています。
写真の中で使用している水槽と、エアーバルブです。
針子(稚魚)にphや水温などの大きな変化を与えると危険
稚魚(針子)はとても弱く、phや水温の変化に敏感なので、水換えは細心の注意を払って実施してください。
最初に書いたように、過密飼育を避けるなど、水を汚さずに水換えを減らすための工夫も大切です。
また、水槽に牡蠣殻(かきがら)やペーハー調整剤などの薬品を添加する行為も、ph(ペーハー・ピーエッチ)に大きな変化を与える可能性があるので、できるだけ少量ずつ優しく行ってください。
例)薬品のほかに、他の水槽の水(グリーンウォーターなど)や生クロレラなども含みます
※ph(ペーハー)とは水中に含まれる水素濃度を測定して、水の成分を酸性・中性・アルカリ性に区別する指標です。
phは、このような検査薬で確認することができます。
phは、メダカの飼育に大切な要素ですから、定期的に確認して管理してあげてください。
ph調整の重要性については、以下の記事をご参照ください。
私も、針子の餌代わりに屋外で作ったグリーンウォーターを添加しています。
添加する際は、手作りの点滴式水合わせ容器を使用して少しずつ注水することで、ph変化を軽減するようにしています。
手作りが苦手な方は、市販の水合わせの道具もあるので、ご活用ください。
日除け対策や保温など適切な水温管理と水合わせの重要性
針子はとても環境変化に弱いので、水温が不安定だったり、極端な水温変化が起きると、ダメージを受けて弱ってしまいます。
メダカが産卵する時期であれば、針子が過ごしにくい水温になることは少ないと思います。
ですが、夏場のひなたや、春先の日陰は、極端に高い水温や低い水温になりやすいので、日除けや保温などの対策が必要になります。
水温を安定させるためには、発泡スチロール製の水槽を使うと安心です。
また、水換えや蒸発した水を足す時も、できるだけ点滴式で優しく注水してあげないと、水温変化のショックで、針子が弱って死んでしまう原因になりかねません。
安全な注水方法については、水質変化対策のところで説明しています。
針子の生存率を上げるには、常に水温を把握してあげることも大切です。
もし、水温の急変に気が付いたら、針子がダメージを蓄積してしまう前に、原因を確かめ適切な対応を行ってください。
できれば孵化後2週間は、温度変化が少ない室内で飼育するか、発泡スチロール製の水槽で温度変化を緩和すると安心です。
屋外飼育では、浮かせておくだけの温度計があると便利です。
一回あたりの餌の量を少なくして食べ残しを増やさない工夫が大切
一般的に稚魚(針子)の死因の第1位は、餓死と言われています。
意外かもしれませんが、針子の死因で一番大きなものは、餓死と言われています。
私も、最初は意外に思いましたが、長い経験の中で、孵化後一週間から10日目に針子が消えやすいことに気が付き、確かに餓死は多いかもなと納得しました。
針子は孵化後4日目から餌を食べ始めるので、何かの原因で餌が食べられないとしたら、1週間前後で餓死がはじまるからです。
針子は孵化後3日間は、ヨークサックというお腹の栄養袋の栄養で生きているので、ヨークサックが空になる4日目から餌を食べ始めます。
餓死が怖いからといって、一度にたくさんの餌をあたえると、餌の食べ残しが増え、食べ残しが腐って水が汚れる原因になります。
ですから、水を汚さないためには、一度にたくさんの餌を与えるのではなく、少ない量の餌をこまめに与えるようにしてください。
生存率を高めるための稚魚の餌の選び方
稚魚や針子の餌といっても、餌の種類は様々です。
一番簡単な稚魚の餌は、成魚用の餌をすり潰したものです。
ですが、与える都度餌をすり潰すのも大変ですし、すり潰した餌は水底に沈みやすいので、私は稚魚専用の餌をおすすめしています。
また、針子にこまめな栄養補給をさせるために、水槽内に共生して針子が常時食べることができる、ミジンコやゾウリムシなどの生き餌を併用すると、より針子の生存率が高まります。
生き餌の活用については、この記事の後半にまとめています。
その他、全般的な餌の選択に悩まれたら、以下の記事を参照してみてください。
私が愛用してる針子用の餌です。
稚魚専用の餌の方が、水に沈みにくいので、食べ残しが確認しやすくて安全です。
私は針子の餓死の防止のために、水槽に屋外で作ったにグリーンウォーターを混ぜて与えています。
グリーンウォーターは植物プランクトンを豊富に含んだ水なので、稚魚だけでなく成魚やそのほかの微生物の餌にもなりおすすめです。
稚魚や針子水槽の水質悪化を抑える対策について
大切なのは、針子に無用な水質変化を与えない≒できるだけ水換え減らす≒できるだけ水を汚さないです。
つまり、水を汚さない対策も、針子の生存率を上げるために重要な要素です。
餌の食べ残し対策に巻貝の活用が効果的
よく言われる対策は、食べ残した餌の処理にラムズホーンなどの貝を入れることですね。
巻貝など、餌の食べ残しを食べてくれる生体がいると、安心して餌を与えることができます。
ただし、貝類は良く増えるので、放置して増え過ぎると、排泄物で逆に水が汚れる原因になるのでご注意ください。
貝類良く増えて増え過ぎる場合もあるので、水を汚す原因にならないよう、定期的に間引いてあげてください。
巻貝をお店で買わなくても、近所の川で採取して活用することもできます。
グリーンウォーターは、主成分の植物プランクトンがメダカやミジンコの餌になり、水中の過剰な栄養分を吸収してくれるので、針子に限らずメダカ飼育では欠かせない存在です。
グリーンウォーターを活用すると、メダカの飼育が楽になります。
以下が、グリーンウォーターの作り方のコツです。
市販のバクテリア剤を活用して水質悪化と病気を予防する
水換えがしにくい針子のうちは、市販のバクテリア剤を活用すると、水質を安定しやすいのでおすすめです。
針子が生まれるたびに、水作りから新しい水槽を準備するのは大変ですよね。
だからと言って、飼育に新しい水を使っていると、バクテリアがいないので水が汚れやすくなります。
ですから、飼育を始める前に水槽にバクテリア剤を入れて、事前にバクテリアが水槽の濾過してくれる環境を作っておくと、水換えを減らすことができます。
これが、私が使っているバクテリア剤です。
メダカの針子の水換えのコツについて
私は点滴式の水合わせ容器を使って、針子であれば3日~4日に1回、1/3から半分の水換えをしています。
また、稚魚が1㎝を超えてきたら、成魚同様に2日に1回1/3の水換えを行うようにしています。
針子の死因のNO.1は餓死と言われていますが、もちろん餓死以外に水質悪化も危険なので、定期的に水質変化が少ない、水換えを励行してください。
できるだけ大型水槽を使って広々と飼育する方が、水換え時のphや水温変化も穏やかで、水も汚れくいので安心です。
室内はスペースの都合で小型のNVボックス13のクリア(透明)を使用していますが、屋外では大型の発泡スチロール箱やプラ舟を使って、できるだけ広々と飼育しています。
針子や小さな稚魚の水換えは、育成ネットを挟んで排水すると、稚魚を吸わずに安心ですよ!
私が室内飼育で使用している小型水槽
私はNVボックスのクリア(透明)を愛用しています。
ただ、クリア水槽の使用時に、底から照明の光が漏れてくると、メダカが落ち着かない様子を見せるので、スチールラックなどを使用する場合は、水槽の底から光が入らないように、厚紙などを敷いて使ってください。
写真のように、ネット状の棚に、そのまま透明水槽を載せると、底から下の段の照明が漏れてきて、メダカが落ち着かなくなります。
以下のクリア水槽は、画像の13L水槽より一回り大きな、水量22Lの水槽です。
22LのNVボックスを使うと、綺麗に「わけぷか」が4個収まるので、セットで使うと便利です。
針子の生存率をあげるには餌にブラインシュリンプが最適
先ほども書きましたが、稚魚の死因のNo.1は餓死だと言われています。
針子の餌にゾウリムシを使用していた時期もありますが、ゾウリムシは培養液にアンモニアが出る場合があるので、水分を濾さずにメダカに与えると、メダカの水槽にアンモニアが混ざって危険です。
ゾウリムシのアンモニア対策については、以下の記事をご覧ください。
今では、飼育水への「グリーンウォーターの添加」に加えて、栄養豊富な「ブラインシュリンプ」を与えて飼育しています。
このやり方だと、殆ど針子が餓死しないので、餌で悩んだら「ブラインシュリンプ」が一番だと思います!
栄養面で比較すると、ブラインシュリンプ>>ミジンコ>>ゾウリムシって感じです。
ゾウリムシは針子でも食べやすいので、餓死防止に対しては高い効果があります。
ですが、成分の大半が水分なので、栄養補給の意味では効果が期待できません。
満腹にはなるけど太れない。ゾウリムシはそんな感じの生き餌です。
その他の生存率を高めるために必要な環境と大切な要素
その他の要素のついては、以下の記事に詳しく書いてあるのでご参照ください。
メダカに危険なアンモニアの対策について
特に、アンモニアの毒性はメダカの死に直結するので、定期的に検査して改善をしてあげてください。
バクテリア剤を添加しつつ、アンモニア検査を併用すると完璧だと思います。
最後に
私が実践している、メダカの稚魚の生存率をあげる飼育方法について書かせていただきましたが、いかがでしたか?
生き餌や水槽や用品の購入など、すぐには対応が難しいこともあったかもしれません。
ですが、餌を少なめに与えたり、過密にし過ぎないなど、直ぐにでも対策できる事柄もあります。
でも、せっかくメダカ達が産んでくれた卵ですから、可能な限り100%を成魚にしてあげたいですよね。
大変だと思いますが、まずは無理をせずに、できることから取り入れてみてください。
この記事がみなさまのお役に立てたら嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。