
みなさま、ブラインシュリンプって聞いたことはありますか?
稚魚の生き餌で最も栄養価が高い餌です。
ブラインシュリンプについてネットで使い方を検索してみると、専用の道具が必要で、毎日塩水を作って孵化させて卵の殻を取り除いて●▲×※※◇●・・・・と、聞くだけでも難しそう。
みなさまはブラインシュリンプを使ってみたことはありますか?
ブラインシュリンプはメダカに限らず、グッピーでもベタでも稚魚飼育最強といわれている生き餌です。
その為、最も栄養価が高い餌と知りながら、なんだか難しく感じて避けている人も多いのではないでしょうか。
私も、難しそうだなと思いながら5年間くらい逃げ続けていました。
でも、周りの先輩ブリーダーさんもみんな使っていて、私も「良いメダカを育てる為に避けて通れないのかな」って思うようになり、思い切ってチャレンジしたのが使い始めた切っ掛けです。
今回は意外に超簡単な、ブラインシュリンプ沸かし方についてご説明をさせていただきます。

凄く簡単に言うと、
①水温25度くらいの汽水(塩分濃度2%/水1リットルに塩20g)に
②ブラインシュリンプの卵を1g入れて、
③24時間エアーを吹き込んで
④ボコボコ撹拌したら出来上がりです!
これだけ聞くと、すごく簡単ですよね。実際簡単なんです。

ブラインシュリンプの栄養価は圧倒的なので、メダカを徹底的に成長させたい方は稚魚の餌にブラインシュリンプがおすすめです。
ブラインシュリンプは毎日孵化させる手間がありますが、逆に言えばミジンコみたいに培養中に全滅しちゃった事件がないのは魅力です。
ブラインシュリンプの解説はSTEP3以降にしますので、ミジンコなど生き餌に興味がない方はSTEP3まで読み飛ばしてください。
成魚用の餌をすり潰して与える方法が最も簡単な稚魚の餌で、次が市販の稚魚用餌の利用ですよね。
その他に、ゾウリムシやミジンコなどの生き餌を自分で増やして与える方もいます。
これだけを聞くと「市販の餌で十分なのに、なんで色んな餌を使う必要があるの?結局、エサは何がいいの?」って疑問になりますよね。
ここでは、本題のブラインシュリンプの説明の前に、様々な餌の特徴とその必要性をご説明させていただきます。
※具体的なブラインシュリンプの沸かし方はSTEP3以降に記載しています。
【STEP1】そもそもなんで色んな餌を使う必要があるの?

稚魚の死因No.1が餓死ってご存じでしたか?
稚魚にとって餌をちゃんと与えることは意外に難しくて、餌のチョイスはとても大切なんですよ。
私も最初の頃は、稚魚を半数以上死なせていました。
ブラインシュリンプを使うようになってからは、9割は残せていると思いますよ。
それくらい効果は高いです。

メダカは胃袋を持たない生き物で、人間のように1日分のカロリーを一食でまとめて摂取するようなことができません。
ですから、メダカは”今”必要な栄養を、”今”食べていて、常に餌を食べ続けながら生活をしています。
ですから、餌を食べれない時間が長く続くと餓死してしまうんです。
屋外飼育であれば、自然に天然の微生物(植物プランクトンやインフゾリアなど)が増殖するので、何も手を加えなくても、稚魚が常に食べ続けられる環境が生まれます。
しかし、人間の手で屋内で飼育する場合は、微生物がほぼ発生しないために、人間が与えた餌だけでは餌が不足気味になり、最終的に稚魚がどんどん餓死していきます。

だったら粉の餌をたっぷり上げたらいいよね?
そう思いませんか?
そうお考えの方もいらっしゃると思います。
でも答えは「NO」です。
粉の餌を大量に与えても、食べ残された餌が水槽の底に沈んで腐って、飼育水を腐敗させる原因になってしまうからです。
粉の餌は、意外にも簡単に水の底に沈み飼育水を腐敗させていきます。

餌を与える基本は
①食べ残さない程度の少量を
②数多く与えることです。
一流の繁殖家さんの中には、1日に10回以上も餌を与える方もいるようです。
でも、一般の愛好家さんは仕事や家事があるので、一日中メダカに餌を与える時間なんてありませんよね?
そこで、ゾウリムシやミジンコなどの活き餌を使って、室内飼育においても自然に微生物が発生したかのような環境を作り出してあげるんです。
そうすることで、稚魚の生存率を上げていくんです。

ミジンコやゾウリムシだったら、食べ残されても水中で生き続けるだけで水を汚さないから、多めにあげても大丈夫です。
それどころか、稚魚が好きな時にいつでも食べれるから常にお腹いっぱいで喜びます!
ただし、オオミジンコは生後2週間目までは控えたほうが安心のようです。

市販の粉餌に、ミジンコなどの生き餌を併用する方が多いのは、そういう理由があるからなんです。

粉の餌は与え方次第で大きなリスクになる場合があります。
以下は、私が粉の餌を使う時に注意していることをまとめた記事です。
【STEP2】活き餌にはどんな種類がありますか?
ミジンコ

生き餌の代表格がミジンコです。
ミジンコの種類は沢山いますが、稚魚のエサとして使用されるのは、オオミジンコとタマミジンコの2種類です。
オオミジンコは5ミリまで成長する大型の外来のミジンコで、全滅しにくく飼育しやすいのが特徴です。
タマミジンコは2ミリまで成長し、環境が合えば一気に増えること、逆に油断すると急に全滅するのが特徴で、ミジンコの中でも外郭が柔らかく、メダカにとって消化に優しいことが魅力のミジンコです。
稚魚の口より大きな親ミジンコを水槽に入れておくと、親ミジンコは食べられることなく子ミジンコを生み続け、それが稚魚のエサになる自動給餌システムを構築できます
ミジンコの餌には生クロレラが最適です
※春から夏にかけてはグリーンウォータでよく増えます。

ミジンコの詳細については以下をご参照ください。
また、その他の餌との比較の記事も載せていますので、ご興味がある方はご覧ください!

ミジンコをお手軽に効率よく増やしたい場合は、生クロレラの使用が最適だと思います。
ネットに様々なミジンコの餌の記事が氾濫していますが、生クロレラが断トツに爆殖するので、はっきり言って悩む必要はありません。

生クロレラの消費期限は冷蔵保存で1ケ月、冷凍保存もできません。
なので、最初は少ない量から買って、様子を見ながら購入量を増やして行く方が無駄がなくて良いと思います。

ミジンコの購入先は正直どこでも大丈夫です。
近所に愛好家さんがいたら、お願いして分けて貰うのも良いのではないでしょうか?
タマミジンコは在来種なので、お近くの田んぼでも採取することが可能です。
ただし採取は”貝ミジンコ”などメダカの餌に適さないミジンコや、ヤゴなどの捕食者が混ざり込むリスクがあるので注意が必要です。
オオミジンコは外来種ですので購入が必要です。
ゾウリムシ

ゾウリムシも稚魚のエサとしてメジャーな存在です。
基本的な飼育方法をマスターすると、とても簡単に誰でも培養を継続することができます。
その生命力の高さはダントツで、体もミジンコより遥かに小さいため、生まれたての稚魚でも食べられることが特徴です。

ゾウリムシの培養は、基本を身に着けたら失敗しようがないくらい簡単です。
ただ、ゾウリムシの飼育環境次第で、培養している水にアンモニアが出やすいので、必ず濾してから与えるよにしてください。
特に餌にエビオスや豆乳を使用すると、飼育水にアンモニアが出るので、必ず濾紙などで濾してからメダカに与えるようにしてください。
ミジンコに比べて育てる労力が少ないことが、ゾウリムシを愛用する方が多い理由だと思います。
ゾウリムシの方がミジンコよりサイズが小さいことも理由の一つかもしれませんが、少なくともメダカの針子であればミジンコが食べれるので問題ありません。

ゾウリムシの詳細については以下をご参照ください。

ゾウリムシの種親はこちらから購入できます。
ゾウリムシも近所に愛好家さんがいたら、お願いして分けて貰うのもありだと思います。
【STEP3】ブラインシュリンプについて


ここから今回の主役ブラインシュリンプについてご説明いたします。
熱帯魚や金魚の世界でも信頼されている圧倒的な栄養価の高さが魅力です
給餌の度、毎回卵を孵化させて与える必要があり、そこが導入のハードルとなっています

ブラインシュリンプの魅力は圧倒的な栄養価の高さです。
そのため、ブラインシュリンプは熱帯魚の世界でも、金魚の世界でも、稚魚の成長促進餌の王様として君臨しています。
ただ、孵化したばかりの幼生を餌にするので、孵化器具を用意して、更に与える都度孵化作業をする必要があるので、敷居が高い印象を持たれがちです。
私は、飼育数が多い方ほどミジンコやゾウリムシを大量に維持するより、ブラインシュリンプを毎日沸かす(孵化させる)方が楽だと思います。

以下の画像が私のブラインシュリンプ孵化器です。

エアホースの容器側はフリーになっており、空気の通り道とブラインシュリンプの排出のどちらでもできるようにしています。 ここに本文を入れます♪

材料はこれだけあったら大丈夫です。
作業も、容器の底に穴をあけるだけだから超簡単ですよ!
力がない女の子だけでも全く問題なし。


エアホースコネクターのサイズは約5.5mmです。

ドリルがなくても、こんな感じで手にドリルビットを持って開けることができます。
エアホースコネクターがテーパー形状なので、容器の内側から外に向かって差し込むことで、水圧で食い込んで水漏れは殆どありません。
どうしても水漏れする場合のみシリコンなどで対策をしてください。


ちなみに、画像の01と書いている容器は孵化が始まっているのでオレンジ色になっています。
おおまかな容器の構造と、ブラインシュリンプの収穫方法については私のYOUTUBE動画を参考にしてください。
動画の中でブラインシュリンプを集めている道具は、ハイテック茶こしと言います。
ブラインシュリンプを濾し取るために、コーヒー用の紙フィルターを使う方もいますが、ハイテック茶こしは洗って繰り返し使用できるので、とてもコスパがいいアイテムです。
以下に商品のリンクを掲載しますので、興味があられる方はご確認ください。
【STEP4】ブラインシュリンプの沸かし方(孵化させ方)について
一般的に言われているブラインシュリンプの沸かし方
②24時間後にブラインシュリンプが孵化するので、卵の殻が混ざらないようにスポイトなどを使用して幼生を集める。
③メダカにエサとして与える前に、ブラインシュリンプを真水で洗って塩分を適宜取り除く。
④ブラインシュリンプは汽水で生存する生き物だが、淡水でも数時間は生存できるので、数時間でメダカが食べ切れる程度の量をメダカに与える。と言われています。

たくさん孵化させる必要がない方は、手作りしなくても市販の孵化機を買うのが一番簡単です。
とにかく直ぐにブラインシュリンを始めてみたい方にもおすすめします。
【STEP5】私流の孵化方法

私なりに上記をアレンジしたのが、以下のやり方です。
上記①について

私は、市販の塩も海の元も試しましたが、どちらでもよく孵化しますよ。
にがりなどが入っていない市販の一番安い塩を選んでいただければ大丈夫です。
水1リットルあたり2gの塩を入れて、塩分濃度0.2%の塩水を準備してください。
おおよそ塩水1リットルでブラインシュリンプの卵2gまで孵化できます。
私の1日の使用量が卵2~3gなので、一般の方でしたら1gでも十分足りると思います。
加温はエアコンを使って常時水温20℃以上にコントロールしています。
冬場は水温27℃に届きませんが、それでも36時間〜48時間時間かければ7割以上孵化しますので、27℃加温は必須ではないと思います。

可能な方はヒーター加温が確実ですが、平均で20℃を超えてくるとしっかり孵化するので、冬場だけ気を付けたらあとは大丈夫じゃないでしょうか?

こっちは夏の話です
私はレッドビーシュリンプも飼育しているので、夏場はエアコンで冷やして水温を24℃まで下げています。
それでも水温24℃で沸かせば24時間で9割近く孵化していると思います。

市販の塩より海の素の方が孵化率があがると言われています。
先ほども書きましたが、私が試した限りは水温としっかり撹拌できているかの方が、孵化率への影響が大きいと思います。
結果はみなさまの目でご確認ください。

私はこの必殺4連ストーンとエアポンプ2台を使ってガーッと撹拌しています。
これで孵化率が一気に向上しました。


400gの大きな缶で販売しているブラインシュリンプがグラム単価で圧倒的にお買得です。
ただ、私は1日に2g分しか沸かさないので、大きな缶で買うとナント200日分にもなります。
開封して長い時間が経過すると、鮮度が落ちて孵化率が下がるので、一般の方はコスパが悪くても、小分けで25gずつ買うことをおすすめします。
ご自身の使用量に合わせてご判断ください。

ブラインシュリンプの大入りの缶は、ヤフオクなどで探すと一般の半額程度で購入できます。
ただ、ブラインシュリンプの卵は、鮮度や管理状態が悪いと比例して孵化率が下がるので、事前に製造日など確認できない場合は、正規のショップでの購入をおすすめします。
また、一部の安い中国製のブラインは幼生の大きさがやや大きめなので、針子が食べれない可能性が有ります。
ですから、価格が安すぎるものはご注意ください。
豆知識:ブラインシュリンプの産地による違い

ブラインシュリンプの産地ですが
①最高級がベトナム産
②一般的なのがソルトレイク産
③格安で購入できるのが中国産の魅力です。
ただ、中国産はソルトレイク産に比べて、卵や孵化する幼生が大きくて稚魚が食べれなかったり、孵化率が悪いものが多いようです。
中国産も良いものが増えているようなので今後に期待です。
②卵の殻の除去について
卵の殻の分別については以下の画像をご覧ください。
画像でわかると思いますが、エアレーションを止めると徐々に、水面に卵の殻、中層にブラインシュリンプの幼生、底に未孵化の卵が溜まるかたちで、自然に分離していきます。
卵の殻や未孵化の卵をメダカが食べると腸管につまらせて死んでしまう恐れがあるので、スポイトなどを使って中層からブラインシュリンプだけを吸い出して集めることが大切です。
そして、卵の殻などの混入を極力排除するために、卵の殻に近い位置にいるブラインシュリンプは、潔く諦めてください。

動画の通り、私はスポイトではなく、水を排水する形でブラインシュリンプを集めています。
私は排出用のホースコネクターを、底から1㎝位の位置まで深く差し込んでいます。
その設定のお陰で、未孵化の卵は排出口に届かず底に残留し、ブラインシュリンプだけが排水溝に吸い込まれるよう工夫しています。
そして、2枚目の写真のように、卵の殻が浮いている水面が近づいた段階で排水を停止することで、水面に浮かぶ殻の混入を防いでいます。
残った塩水にブラインシュリンプが沢山残っているのはもったいないですが、確実に卵のカラを排除するため、潔く諦めるようにしています。

厳密にこれだけっていう基準はありません。
卵の殻をメダカが食べても、ほんの少しなら大丈夫らしいのですが、どうしても過剰になると腸閉塞で死んでしまうそうです。
過度に心配し過ぎる必要はないと思いますが、できる限り慎重に、卵の殻は分別してください。


④ブラインシュリンプは淡水では数時間しか生きられないので与えすぎに注意
豆知識:真水でも2日間生存しました
私は②で説明したように、水面付近を漂うブラインシュリンプは、殻が混入するリスクがあるので捨てるようにしています。

今回、せっかくなのでそのまま真水でどれくらい生存できるか実験してみました。
真水で2日経過した段階で止めて処分しましたが、2日間しっかり生きていたので「真水で生きている時間は数時間だけ説」にこだわり過ぎる必要はないと思います。
画像が孵化初日で、動画は孵化から2日経過後のブラインシュリンプです。

元気に生存していることが確認できると思います。

大切なこと

ブラインシュリンプが、ヨークサックの栄養分を使い切る前に、メダカに与えることが大切です。
メダカも含め、基本的に稚魚はヨークサックで3日生きると言われていますので、ブラインシュリンプも、孵化後3日以内のできるだけ早い時間が目安になると思います。

ヨークサックはドンドン消費されていくので、ブラインシュリンプは孵化後どれだけ短時間で、メダカに与えるかが勝負です。
ブラインシュリンプの鮮やかなオレンジ色はヨークサックの色なので、しばらくして黒っぽく成長したブラインシュリンプは栄養価が低く、あまりメダカに与える意味がなくなっていますのでご注意ください。
最後に
私は、自分で実際にチャレンジするまで、ブラインシュリンプは手間がかかり、本業のブリーダーさんだけが使う特別なエサだと思っていました。
でも実際には、想像していたほど難しいこともなく、逆にゾウリムシやミジンコを維持するより、省スペースでできるし手間もかかりません。
卵の購入にそこそこ費用はかかりますが、めだか屋SUNの規模だと、ミジンコの培養に使用する生クロレラの方がよっぽど高価な素材です。
これを機会に、趣味のレベルだからと諦めることなく、是非ブラインシュリンプにチャレンジしていただけたらと思います。


ご参考に餌全般の記事のリンクを載せておきます。ご興味がある方はご覧ください。

最後にドラマ「ばらかもん」の舞台にもなっていて、現在私が居住している五島列島の産品「五島うどん」をご紹介します。
「五島うどん」は讃岐うどんや稲庭うどんと並び日本三大うどんの一つに数えられており、真珠のような白さと細いながらにもっちりとした独特のコシと喉ごしの良さが魅力です。
是非ご賞味ください!