
みなさまは、秋から春先までどのようにしてグリーンウォーターを確保していますか?
室内で繁殖をされる場合でも、グリーンウォーターがあるだけで稚魚の生き残りが随分違うと思いますが、冬の期間にグリーンウォーター手に入れるのって難しいですすよね。
私は、照明や温度をアレコレ工夫して、室内で安定してグリーンウォーターを作ることにチャレンジした時期もありましたが、今は生クロレラを代替え品として使用しています。
生クロレラってグリーンウォータの代替え品になり得るのでしょうか?
今回は生クロレラのメリット・デメリットについて解説をさせていただきます。
秋から早春にかけての気温が低く太陽光が弱くなる時期は、どうしてもグリーンウォーターを維持することが難しくなりますよね。
グリーンウォーターでの飼育には朱赤の色揚げなど様々なメリットがあるので、できれば年間を通してグリーンウォータを維持したいのが本音。
それにグリーンウォーターが手に入らないと、ミジンコが培養できないし、稚魚の歩留まりも落ちてしまって大変ですよね。
そこで、グリーンウォーターの代替え品として登場するのが市販の「生クロレラ」です。
市販の「生クロレラ」は、値段もそこそこしますし、使用についても賛否両論あって導入を迷っている方も多いのではないでしょうか?
今回は、「グリーンウォーター」と「生クロレラ」のメリット・デメリットについて検証ていきたいと思います。
【STEP1】グリーンウォーター培養ついて
グリーンウォーターの特徴とメリット


グリーンウォーターは、メダカの飼育水が自然に緑色に変色した状態を指す言葉で、水中に大量の植物プランクトンが発生しているので緑色に見えます。
メダカのフンなど有機物が水中に増えると、有機物が分解され有毒なアンモニアなどに変質します。
これが、メダカが衰弱してしまう原因になります。
ところが、グリーンウォーターで飼育していると、有害物質の一部を植物プランクトンが栄養として吸収するので、水を浄化する効果が期待できます。
また、植物プランクトンが直接メダカの餌になるだけでなく、ゾウリムシやミジンコの餌にもなり、自然に水槽内に食物連鎖が産まれることもメリットです。

メダカにとってグリーンウォーターは、食料であり、畑であり、養殖場なのです。
また、植物プランクトンは文字通り植物ですので、光合成によって水中の二酸化炭素を酸素に変えてくれる効果も期待できます。
まさにグリーンウォーターは、メダカ飼育において万能選手なんです。
グリーンウォーターと雨
グリーンウォーターで飼育している水槽に、大量の雨が降り込むと、緑色がさめて水が澄んでしまうことがあります。
この状態をよく観察すると、水が澄むだけではなく、底に濃い緑色の堆積物が発生していることに気が付くと思います。
これは、植物プランクトンの死骸で、そのまま放置すると有害になりますので、水換えもかねて一緒に飼育容器から吸い出してください。
これを防ぐためには、波板などを利用して、メダカの水槽に雨が降り込まないようにする工夫が必要があります。
メダカにとって雨は、急激に水温を下げて、水質を酸性にし、グリーンウォーターをダメにしてしまう、謂わば天敵なんです。
グリーンウォーターとアオコとの混同に注意
アオコとは、水面に浮遊性藍藻が大量繁殖している状態です。
見た目がグリーンウォーターに似ていることが問題で、アオコはメダカやエビに有害な毒素を出す上、水面を覆って植物プランクトンの光合成を妨げる悪者ですが、発生しても気付きにくいんです。
グリーンウォーターとアオコの一番の違いは悪臭です。
基本的にグリーンウォーターは臭いませんが、アオコは強い刺激臭がありますので、もし強い臭いを感じたらアオコの可能性があります。
できるだけ速やかに水槽をリセットしてください。
その他グリーンウォーターの注意点
グリーンウォーターのデメリットの1点目は、飼育水が緑色に濁るため、水槽内の観察が難しくなり、ヤゴなどの捕食者を見落としたり、フンや食べ残しのエサの堆積が発見し辛くなることが挙げられます。
2点目は、植物プランクトンが日中に光合成をして、二酸化炭素を吸収し酸素に変えていくことをメリットで記載しましたが、実は日が沈むと植物プランクトンは酸素を消費します。
そのため、グリーンウォーターが濃い=植物プランクが多すぎると、逆に夜間の酸欠の原因になってしまします。
グリーンウォーターの作り方
グリーンウォーターの作り方におついては、以下の記事をご参照ください。
ただ、夏場であれば、太陽の下に飼育水を数日放置するだけで、グリーンウォーターはしっかり仕上がりますのでご安心ください。

【STEP2】生クロレラについて
クロレラは、とても微細な単細胞緑藻で、川や沼などに生息しており、大昔から存在する植物です。
このクロレラを(商品によりますが)生きた状態で販売しているのが生クロレラです。
市販されている生クロレラの濃縮原液は臭いがとても強く、最初は「腐ってる!?」と疑問を持つこともありますが正常です。
また、常温ではすぐに傷むうえ、冷蔵でも長くて1カ月、冷凍しても品質を維持できないという扱い難さを持っています。
そのため、使用するためには必要な分量を定期的に購入する必要があります。
生クロレラの賛否
生クロレラを直接メダカの飼育水槽に入れると、すぐに成分が沈殿し、逆に飼育水を汚してしまうので、ミジンコのエサとしてしか使用しないという意見も少なくありません。
私もその認識を持っています。
稚魚(針子)に生クロレラはある?なし?
メダカは約3か月で大人になると言われています。
しかし、繁殖家レベルの方は僅か1か月~1カ月半で産卵を始めるまでに大きく成長させることができます。
めだか屋SUNでも、時期による影響はありますが、孵化から1カ月半あれば若魚サイズまでは成長しています。
まだ未検証ですが、産まれて2週間の間にどれくらい栄養を取れたかで、その後の成長が違ってくるとのご意見もあります。
稚魚の死因No.1が餓死であるとも言われていますし、それだけメダカにとって稚魚時代の食事は大切です。
メダカは胃袋を持たない生物なので、人間のように食い貯めができません。
表現が難しいのですが、メダカは今必要な栄養しかお腹(体)に入れられないので、1日分の栄養を摂取するためには、ずっと食べることとフンをを続けないと、栄養失調になってしまうのです。
そんなメダカの小さな稚魚が、殆どエサをお腹に入れられないのは容易に想像ができると思います。
そのため、大人のメダカの感覚でパラっと一つまみエサをあげても、その殆どが食べられることなく、底に沈んでいきます。
そのエサが腐って飼育水を汚すためエサ残りの悪循環が始まります。

私の飼育場の動画ですが、生クロレラを使ってミジンコと共生飼育している、メダカの幼魚の様子が収録されています。
餌残りの悪循環を防ぐためには、少ない量を1日に何回も与える必要があります。

一般の愛好家の方は、仕事や家事があり、終日メダカのエサやりに没頭することは不可能ですよね。
そのため、ゾウリムシやミジンコといった活き餌を、いつでも食べられるように与えるのですが生クロレラはそれらの活き餌の餌としても最強なのです。

前述しましたが、メダカに「生クロレラ」を直接与えることについては賛否があります。
というより、肌感覚では否定派が多いと思います。
私も正直生クロレラのを直接与えるのは微妙なので、飼育水に10,000倍程度まで薄めて稚魚に与えています。
そして、その中でミジンコも同時に増やしています。(というより、活き餌として与えたミジンコが勝手にクロレラを食べて繁殖しています。)
そうすることで、生クロレラを稚魚とミジンコが消費し、底に沈殿する生クロレラを限りなく少なくできています。
また3日に1回は1/3以上換水しているので、目立って水質が悪化することもありません。
このあたりが、換水による水質ショックや水流で背が曲がるリスクと水質悪化のトレードオフになるため、クロレラ否定派のご意見につながるのかなと考えています。
小さな稚魚のうちは、換水を最低限に抑えたいのは共通だと思います。

私は水質ショックを最小限にするため注水は点滴容器で行っています。
一般のご家庭でミジンコやゾウリムシを培養・維持することは、かなりハードルが高いと思いますので、まめな換水+生クロレラという育て方も有効ではないかと思います。
大切なことは、メダカに与える生クロレラは微量を心がけることです。
実際に、生クロレラを飼育水に混ぜると、稚魚が何かを食べ始めている様子はすぐに確認できます。
それをしっかり確認できると安心できるのではないでしょうか?
【STEP3】生クロレラはグリーンウォーターの代替になり得るか?

最初に、私の検証結果による考察であることをご理解ください。
生クロレラは稚魚のエサになるか⇒効果あり
生クロレラに水質浄化の効果があるか
⇒水質浄化効果はなく、逆に沈殿し水質悪化のリスクがある
生クロレラに酸素を産み出す効果があるか⇒効果は期待できない
以上から、生クロレラはグリーンウォータとは似て非なるもので、グリーンウォーターのように万能選手ではなく、あくまで効果的な液体エサだということを前提に使用する必要があると考えます。
また、加温飼育に生クロレラは相性が悪いようです。
みなさまも、生クロレラの使用は、まめな換水とセットでお考え下さい。
この記事をご参考にしていただき、みなさまのメダカライフが広がるととても嬉しういです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
