
みなさま、メダ活楽しんでいますか?
最近インスタグラムに「なぜ、メダカにエアレーションをするんですか?育て方を知らないんですか?」って書き込みが届いて複雑な気持ちになりました。
私も、メダカが水流が苦手なことはわかっていて、それでも必要悪?という感じでエアレーションしています。
水って攪拌しないと痛みが早いんですよね。
そこで今回は知ってるようで意外に知らない「エアレーションの必要性」について解説をさせていただきます。
メダカなど強い水流を苦手とする魚の飼育で、しばしば話題になるのがエアレーションの是非ですよね。
YOUTUBEなどを見ていても、ブリーダーさんのエアレーションへのこだわりは凄いなと痛感させられます。
今回は、なぜ私が敢えてメダか飼育でエアレーションをするのかその理由と、安全にエアレーションを行うポイントについて解説をさせていただきます。

エアレーションって酸素の供給ばかりに目線が行きがちですが、エアレーションの効果は酸素の供給と水面の油膜取りだけじゃないんですよ!

みなさまが心配される魚と水流の関係についてはSTEP8以降で説明させていただきます。
お急ぎの方はSTEP8まで読み飛ばしてください!
【STEP1】私が敢えてエアレーションを行う理由

最初に大前提となる、私が敢えてエアレーションをする理由をまとめておきます。
①水の腐敗防止
②ろ過バクテリアを増やし、嫌気性バクテリアを抑制する
③微生物の増殖を促す
④水温の調整
⑤特に夜間の酸欠防止の
⑥油膜の除去

ここに書いてある全てが、エアレーションの効果です。
意外にたくさんあるでしょ!
こういった効果があるので、水流がない方が良いと分かりつつ、水質や環境維持のためにエアレーションを行っています。

ハッキリ申し上げて、ベタ飼育のように小さな容器で毎日全換水しながら飼育する場合はエアレーション必要としません。
ベタはラビリンスで呼吸してるなんて突っ込みはなしですよ。

でも、メダカをある程度大きな水槽で砂利を敷き、生物ろ過で水を維持する場合は、他の観賞魚同様エアレーションをしています。
また、ベアタンク(砂利などを敷かない飼育方法)でも、酸欠防止や微生物の繁殖促進にエアーは欠かせません。
次項から具体的にエアレーション効果について説明をしていきます。
【STEP2】水の腐敗防止

厳密には純水が腐ることはありません。
ただし、水道から出る水も、水槽の中の水も微量ながら有機物を含んでいます。
そして、有機物と細菌が接することで水中の有機物が腐っていきます。
その水中の有機物が腐った状態を『水の腐敗』と呼びます。
水道から出てくる水が腐らない理由

大雑把に言うと、カルキ(塩素)が入ってるから腐りにくいんです。
ご存じのように、水道水にはカルキ(塩素)が含まれています。
この塩素には細菌を不活性化させる力があるので、細菌が有機物を腐敗させることができず水が腐りにくい状態になるんです。

逆に水槽の水は「カルキ」が除去されているので、非常に腐りやすい状態と言えます。
では、腐敗防止のためには何をしたらよいのでしょうか?
川や海の水が腐らない理由

理由は簡単で、川の流れで水が常時撹拌されているので、細菌が有機物に接することができず、有機物が腐敗しにくい環境になっています。
簡単に言えば、水に流れを作ることで水は腐敗しにくくなります。

なるほど。水の腐敗防止には水流が大切なんだ。
なんだかエアレーションの秘密がわかってきたね!
水の腐敗と水替えの考え方
水道水を冷蔵庫で保管すると1週間はカルキ(塩素)の効果が持続するので腐らないそうです。
また常温保管だと直射日光が当たらない場所で3日、直射日光が当たる場所で2日でカルキの効果が弱まり腐敗が始まります。
これは開封後の飲料水(蛇口から出た水を含む)の保管期間の目安になります。

メダカの飼育水って、カルキを除去したうえでガンガン日光に晒しますよね。
しかも、メダカの糞など有機物も満載の状態です。
ですから、メダカの飼育水は初日からどんどん腐敗が始まります。
そこで、魚の健康のために小川のような水流を生み出して、水の腐敗を遅くする必要があるんです。

これはメダカに限らず他の種類の魚の飼育でも同様です。
【STEP3】ろ過バクテリアを増やし、嫌気性バクテリアを抑制するため
①納豆菌などの有機物分解菌
②アンモニアを分解する好気性バクテリア
③窒素を分解する嫌気性バクテリア
④有害な硫化水素を発生させる嫌気性バクテリア

凄く大雑把ですが、
「好気性」とは酸素が好きなバクテリア、「嫌気性」は酸素が苦手で酸素があると増殖できないバクテリアです。
上記の①~④の中で魚の飼育に必要なのが①②③、絶対増やしたくないのが④です。
そこで、危険な④を増やさないために④と同じ「嫌気性バクテリア」の③もセットで諦めて、積極的にエアレーションで酸素を供給し「嫌気域」をなくす方法が、ろ過バクテリアを活用した水質管理の基本的になります。
危険な嫌気性バクテリアを増やさない方法

嫌気性バクテリアは酸素が苦手なので、ソイルや砂利の一番底の方の重さでギュウギュウに固まって水の通りが悪い(酸素が届かない)場所で増殖します。
つまり③④を増やさないためには、極力ギュウギュウで水が流れない場所や、酸素が行きわたらない場所(嫌気域)作らないことが大切です。
そのために、特に流れが淀みやすい水槽の底の方をエアレーションを用いて十分に撹拌する必要があるのです。
注意点

エアレーションでブクブク酸素を吹いても、酸素が水に溶け込む場所は水面の泡が弾ける場所だけとご存じですか?
ですから、水底の付近でエアレーションをしたからと言って、水底の酸素濃度が濃くなるわけではありません。
それでも、私が水底付近にストーンを下ろしてエアレーションをする理由は、泡の水流で積極的に水底の水の撹拌するためです。

一番「嫌気域」になりやすいのが水底の砂利の中なので、積極的に水底付近を撹拌したくて底の方でエアレーションしているんです。


バクテリアについては以下の記事で詳しく説明しています。
【STEP4】微生物の増殖を促すため

ミジンコもゾウリムシも一般にエアレーションしないほうが良いと言われています。
でも、水の腐敗が原因だと思いますが、私の経験上は僅かにエアレーションをする方が爆殖しますし、グリーンウォーターも仕上りが綺麗です。
微生物の詳細は以下の記事をご覧ください。
【STEP5】水温の調整

エアレーションをすると僅か数℃ですが、気化熱で水温を下げる効果があります。
ですから、夏の暑い日にエアレーションを強めたり、逆に冬の寒い日はエアレーションを止めるなどすると、若干ですが水温を調整する効果があります。
これは、夏の室内でも有効なテクニックですのでご活用ください。
【STEP6】特に夜間の酸欠防止
①水温が上がると溶存酸素量が減って酸欠になる危険が高まる。
②植物は日中二酸化炭素を消費するが、夜間は酸素を消費するので植物が多い水槽は夜間の酸欠リスクが高まる。

まさに上記の通りです。
ホテイアオイや浮草を大量に使っている方は、夏の夜間の酸欠に注意が必要です。
【STEP7】油膜の除去

エアレーションをせずに飼育していると、水面にたんぱく質やバクテリアの死骸などが浮いてきて膜状になることが多いです。
特に上見を楽しむメダカの飼育で水面に膜が張ると見栄えが悪いので、エアレーションを掛けて油膜の発生を防止します。
【STEP8】水流が苦手な魚にエアレーションをしても大丈夫なの?

基本的に水流が苦手とされる魚は、池など水流がない場所に生息していた魚なので、流れがあると水流に逆らって泳いでしまい体力を消耗して弱っていきます。
また、改良でヒレが大型化した魚は、体形が本来の泳ぎに適した形から崩れているので、いっそう水流を苦手とする傾向が顕著です。

ここまで読まれた方ならご理解いただけると思いますが、水を綺麗に保つのにエアレーションの効果は絶大なんです。
だから、水流が嫌いな魚が疲れない程度の水流を追求しながらエアレーションを行う。
そんなギリギリのバランスを日々研究しながら飼育をする必要があるのです。
でも『それってどうしたらいいの?』について以下でお答えいたします。
水流が苦手とされる魚は流されることが苦手なので、魚が流されない範囲で水流を調整することが大切なんです。

よく「極弱い水流ならOK」みたいなことが書いてあること多いですよね?
これってどうやって極弱いと判断したらよいのでしょうか?
メダカなど上見飼育の場合

私はメダカのように上見で育てる魚の場合は・・・
②水面の反射を見ながらエアレーションの波紋が水槽全体に及んでいないか?
③浮草を流して極端に流れている場所がないか?
などを判断の指標にしながら(エアレーションの付近は仕方がないですが)全体を眺めて、浮草などが僅かに揺らぐ程度にエア量を繰り返し調整しながらエアレーションをしています。

屋外飼育の場合は、たくさん浮草を浮かせることでエアーが起こす波紋の防波堤を作ることができます。
採卵しないメダカはこの方法が一番簡単です。

夏場など水の腐敗が進む時期は、エアレーションを強めるのではなく、弱いエアレーション(投げ込み式フィルターを含む)を数個所設置して対応してください。
「極弱く」の調整をしっかり行えば、水流を強めることなく全体を撹拌できます。
ただし、各エアーの波紋が交差して乱流にならないように注意してくださいね。
水槽など横見飼育の場合

横見飼育の場合は、上見よりエアレーションの泡が目立つので、エアレーションが強く感じられることがあります。
ですから、見た目だけで強弱判断しないで、必ず以下のような水流テストを行ってください。
②ヒレがヒラヒラと流れに揺らされていないか、胸ビレを激しく動かして流れに耐えるような動作がないかを確認する。
②水槽に水草の葉などを投げ込んでみて、水中で葉がグルグルと舞うような状況でないかを確認する。
言葉で表わすのは難しいのですが、私はタンポポの綿毛や綿ぼこりが落下する様に静かにふわっと流れていく感じで調整するようにしています。

気温や機器の調子で日々エアの流量は変化します。
ですから水槽立ち上げ時だけでなく日々の観察の中で定期的に調整をしてあげてください。
水流が強いと魚が流されますし、流れなくても胸ビレを激しく動かして姿勢を保つ動作を見せたり、浮上性の餌が沈みやすかったりします。
そういった幾つかのチェックポイントを意識してあげると、魚に優しいエアの流量を保つことができます。
小さな容器の場合

小さな容器で「極弱い」エアレーションが難しい場合は、画像のようにエアホースを丸めて浮かせることで水流を弱めることができます。
便利なテクニックなのでご活用ください。
