みなさま「ゾウリムシ」はご存じですか?
「ゾウリムシ」は草履のような形をした繊毛虫(動物的単細胞生物)の仲間で、非常に細かいので孵化したての針子の餌に最適です。
私は「ゾウリムシ」に出会ってから、稚魚の歩留り(生き残り率)が飛躍的に向上しました。
もし、針子の餌でお悩みの方は、この記事を最後までご覧ください。
意外にも、メダカの稚魚の死因のNo.1は餓死だとご存じですか?
私も最初は『No.1は水質悪化でしょ?』って思いましが、実際に餓死がNo.1だそうです。
確かに、孵化後3日間でヨークサック(お腹の栄養袋)を使い切って、その後1週間目くらいが針子が死にやすいように感じています。
そういった意味で、私は死因のNo.1が餓死説は納得できます。
針子の餌は、栄養面にフォーカスすると「ブラインシュリンプ」が一番だと思います。
ゾウリムシの体は、ほとんどが水分のため、栄養面では他の活き餌に敵いません。
ただ、針子の餓死の予防に一番お手軽な餌は何かと問われると、私の中では「ゾウリムシ」最適かなと思います。
ゾウリムシ以外に「ミジンコ」や「ブラインシュリンプ」にも興味がある方は、以下の記事をご覧ください。
メダカの稚魚は、孵化後3日間はお腹に付いたヨークサック(栄養袋)から栄養を吸収して、餌を食べることなく成長します。
そして、4日目から摂食を始めます。
ふ化直後はとにかく体が小さいので、与える餌に工夫が必要です。
メダカは胃袋を持たないので、人間のように食い貯めができません。
人間は胃袋に食料(栄養)を貯め込んで活動するので、1日3食でも活動できるんですよ!
そのため、メダカは「今」必要な栄養を「今」食べながら生きているので、少量の餌を何回も与える必要があります。
なんで少量なの?
餌をたくさんあげたらいいのでは?って思いますよね。
餌を食べ残すと、残った餌が水槽の底に沈んで腐り、腐った餌が水を汚します。
ですから、水を汚さないために、餌はすぐに食べ終える量しか与えられないのです。
針子のうちは食べる量も少ないので、粉の餌の場合は本当にホコリを落とすような微量を何回も与える必要があります。
一日に何回も!?
それって一般の愛好家さんでは無理ですよね!?
そこで活躍するのが、「ゾウリムシ」をはじめとした「インフゾリア」などの活き餌です。
※インフゾリアとはゾウリムシ・ラッパムシといったミジンコよりも小さい微生物の総称です。
今回は、私が特におススメする稚魚用の活き餌「ゾウリムシ」の培養方法と、そのメリット・デメリットについて解説させていただきます。
最後まで、よろしくお願い申し上げます。
【STEP1】針子の最強餌「ゾウリムシ」とは
ゾウリムシは草履型をした繊毛虫(動物的単細胞生物)の1種です。
顕微鏡で観察するくらい凄く小さい生き物なので、メダカの針子の餌に最適なんです。
【STEP2】ゾウリムシの培養容器作り
雑な作業で恐縮です。
私の「めだか屋SUN」では「ゾウリムシ」の培養容器に2リットルのペットボトルを使用しています。
最初に、ペットボトルのキャップに、酸素の供給と破裂防止のために2か所穴を開けます。
写真はドリルで穴をあけていますが、ドリルがなくてもドリルのビットを手で回すだけで穴は開きます。
ご興味がある方は、以下の点滴容器の手作り記事の中で、穴あけの詳細を説明していますのでご覧ください。
私は、ジュースの類だと成分の残留が心配なので、洗うのが簡単なミネラル水の空きボトルを使用しています。
【STEP3】ゾウリムシの餌はこれ
次に、ペットボトルの中にゾウリムシの餌となる「キリン生茶」を注ぎます。
これは「YouTube」で見た情報ですが、お茶の中でも「生茶」が最適だそうです。
値段に差もないので、私は情報を鵜呑みにして「生茶」を愛用しています。
「キリン生茶」をペットボトルの1/4くらいまで注ぎ、残りをカルキ抜きした水で満たしてください。
※カルキ抜きをしていないとゾウリムシに悪影響があります。
ただ、生茶はそこそこ高いので大量培養に向きません。
ご家庭向けだと思います。
お茶の他に、コストパフォーマンスの面で「エビオス錠」や「豆乳」などが使われることが多いようです。
私は「エビオス錠」なら2リットルのペットボトルあたり3~4錠、「豆乳」であれば2リットルあたり数滴たらして使用しています。
後ほど書きますがゾウリムシには使用期限があるので、ご家庭で使用量が少ない場合は500mlのペットボトルでも十分だと思います。
その場合は「生茶」なら500mlの1/4、「エビオス錠」なら1錠で大丈夫です。
ただし「エビオス錠」や「豆乳」を使用した水は、物凄くアンモニアが増えます。
「エビオス」などを餌にした「ゾウリムシ」を与える場合は、メダカの飼育水をアンモニアで汚染しないように、目の細かい選別網で、ゾウリムシの培養液を濾し取ってから与えるようにしてください。
そうしないと、メダカの水槽のアンモニアが増えてしまうので危険です。
【STEP4】いよいよゾウリムシを投入
準備ができたら「ゾウリムシの種」を注いでください。
種と言っても、少量のゾウリムシのことです。
ゾウリムシはAmazonなどで購入できます。
1回買えばご自身で増やせますので、上手に飼育できれば何度も購入する必要はありません。
【STEP5】ゾウリムシの培養期間とメンテナンス
ゾウリムシの培養の準備ができたら、毎朝・毎晩「穴を開けたキャップ」の穴をシッカリ塞いでから、ペットボトルを優しく振って攪拌し、水中に酸素を含ませてあげてください。
私は塞ぎ方が甘くて、何度かゾウリムシ入り生茶をかぶったことがあります。ご注意ください。
日々の手間はそれだけです。
ゾウリムシの使用期限
培養をはじめて、おおよそ3日目からゾウリムシが増えはじめます。
そして「エビオス錠」だと1週間、「生茶」だと10日前後で増加のピークに達して、ゾウリムシの減少が始まるので、それまでに使い切る必要があります。
「エビオス錠」を使う場合は、水中のアンモニア濃度が高くなるので、ゾウリムシだけを濾してメダカに与えるようにしてください。
生茶で培養する場合は、翌日からフワフワとオリが漂い始めますが、私が使用した限り品質に問題はありませんでした。
写真の中の小さなホコリのようなものがゾウリムシです。
【STEP6】ゾウリムシが減ってきたら
2リットルのペットボトルの残りが1/4位になったら、「生茶」とカルキ抜きした水、あるいは「エビオス錠」を2錠を追加しておくと、またゾウリムシが増えはじめます。
うっかり数か月放置して、中に何もいなくなったように見えても「生茶」を注ぐとゾウリムシが復活したという話もあるようです。
私はゾウリムシの全滅が心配なので実験したことはありません!
【STEP7】メダカへの与え方
生茶で培養した場合は、ペットボトルを傾けて少し握るだけで、ペットボトルの蓋の穴からゾウリムシが出てくるので、ワンプッシュのイメージで与えてみると良いと思います。
「豆乳」や「エビオス錠」を使用した場合は、アンモニアが濃いので「ハイテック茶漉し」や「コーヒー用の紙フィルター」などを使用して、ゾウリムシを濾してから与えてください。
ゾウリムシは、培養の手軽さで最強だと思います。
ぜひ活用してみてください。
ハイテック茶漉しは「ゾウリムシ」や「ブラインシュリンプ」を濾し取るのに便利です。
私のおススメ商品です!
最後に
温かい時期の屋外飼育では、自然にグリーンウォーターになり、微生物がわき、稚魚はそれらを捕食して成長するので心配がありません。
しかし室内での飼育では、微生物がわかないため、針子の飼育の難易度がグンと上がります。
そのような時に活躍するのが、ゾウリムシをはじめとした活き餌たちです。
ゾウリムシの成分の殆どは水分のため、栄養面ではミジンコやブラインシュリンプに劣りますが、お手軽に針子の餓死防止ができる点で、ゾウリムシを活用するメリットがあります。
今回の記事が、稚魚の飼育でお悩みのみなさまのお役に立てると嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。