
皆さま、メダカの室内飼育の経験はありますか?
私はアクアショップを運営しているので、たくさんのお魚を室内飼育しています。
私の経験上ですが、メダカの室内飼育って意外に難しく、死んでしまうことが少なくありません。
今回は何年も悩みぬいた私の室内飼育のノウハウをご説明させていただきます。
みなさまの中にも、繁殖や品種改良のために初めて室内での加温飼育にチャレンジしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私が初めて室内飼育にチャレンジしたばかりの頃は、ポツポツ死が止まらずに何度も壁にぶつかり悩みました。
先輩ブリーダーに相談し、夜な夜なネットで検索し、本当に苦しんだ記憶しかありません。
今日はそんな私の経験を中心に、室内での加温飼育のコツについてご説明したいと思います。
【STEP1】室内での加温飼育って難しい!?
個人的に室内での加温飼育は、難しい面とやり易い面の両面があると感じています。
ブリーダーの方によっても様々だと思いますが、今回は私が感じていることを記載させていただきます。

私がメダカが難しく感じる理由は、メダカは水流を嫌うので熱帯魚のように高性能のろ過フィルターが使えないんですよね。
だから、水質の維持に凄く気を使います。

室内飼育が難しいと感じる点
①アンモニアは、水中で「害がないアンモニウムイオン(NH4+)」と「有害なアンモニア( NH3)」のどちらかの形で存在している。

加温をすると飼育がさらに難しくなるんですよ。
具体的には
水温が下がる⇒ NH4+ の比率が高くなる⇒害が少ない
水温ががる⇒ NH3の比率が高くなる⇒害が強くなる
加温して水温を上げていく行為は、水中のアンモニアの総量に対して有害な アンモニア(NH3)の比率を高める行為になります。
つまり、同じようにアンモニアが溶けている水であれば、水温が高い方がメダカにとって害が強いということになります。

水温との関係はココにまとめてあります。
②基本的に室内飼育は容器が小さく、水流を出さないためにろ過装置も最小限となる傾向があるため、バクテリアによるろ過効果が期待できない。
通常、硝化バクテリアは水中に存在するため、換水すると古水と共にバクテリアを捨ててしまうことになります。
熱帯魚飼育であれば、外掛けフィルターや外部フィルターを使用することで、バクテリアが繁殖した飼育水を一定量保管できます。
でも、水流を出さないために投げ込み式フィルターしか使わないメダカの飼育で換水をすると、飼育水中のバクテリアはどんどん減ってしまします。
「バクテリアは1日に2%程度しか増えない」ため、基本的に換水のペースにバクテリアの増殖が追い付かないと考えていいと思います。

だから、高機能フィルターを使えないのが痛いんですよね。
でも、最近はこれを使っていります。
③加温することで、水替え時に水温ショックを与えてしまうリスクが高まる。
読んでそのままです。
冬場の加温飼育の飼育水は、水道の水よりも、室内で保管している水よりも数段温かい水の為に、ヒーターなどで加温しておかないと、換水する水としては冷たいですし、加温しても完全に温度差をなくすことが難しいです。
ここも注意点になります。
①~③がの要因が絡み合うと
冬場の加温飼育は、小さな容器で水量が少なくバクテリアが増えにくい環境の為に飼育水中にアンモニアが増加しがち。
更に加温していることでアンモニアが有害なアンモニア(NH3)の状態で存在する比率が増え、いっそう飼育水の有害性が高まりやすい。
それにも関わらず、水温ショックの懸念があるため慎重に換水しないと危険。
となり、屋外で大きな容器での飼育に比べて、水質の維持管理が難しく、メダカが落ちるリスクが高くなります。
【STEP2】室内飼育のメリット
①室内は雨が降ることなく、外に比べると温度変化も小さく、虫などの外敵が少ない。
室内が飼育しやすい点はこれくらいです。
雨を警戒して、飼育容器に蓋をしたり、雨が降って慌てることがないことはメリットですが、基本的に室内の方が飼育しやすいということはないと考えて間違いないと思います。
【STEP3】室内加温飼育を少しでも安全に行うには?
TDSメーターやアンモニア検出試薬があると、勘に頼るよりも数段安全にメダカを飼育することができます。
と言うより、私は勘に頼るだけでは不安だと感じています。
①TDSメーターの活用
TDSとは総溶解固形物の量で、TDSメーターは水中に溶けている不純物の総量を判断する道具で、水に溶けているものの総量を示す値は単位はppmで表します。
基本的には「TDS」の値が小さいほど水中に溶解物が少ないことを意味します。
ただ、計測される物質は、ミネラルなどのメダカの飼育において大切な成分や、反対にアンモニウムイオンなどの有害物質が含まれるため、単純に「数値が高い=悪い水」ではないことに注意が必要です。
以下に参考となる数値を記載いたします。
一般的な日本の水道水 100 ~ 160 ppm
軟水系のミネラルウォーター 60 ~ 70 ppm
上記を踏まえて、一般的に150ppm程度までは飼育に問題ない水質で、300ppmを超えてくると水質悪化を警戒をするサインと考えていいと思います。
ただ、グリーンウォーター化した飼育水は珪藻類分だけTDSが上昇しますので、一層TDSだけの判断は難しくなる傾向があります。
②水質の予測とアンモニア検出試薬の活用
TDSで水中の溶解物は検出できますが、その内訳をみることができません。
メダカの健康のためにミネラルを添加したりすることもあると思いますが、TDSはそう言ったミネラルにも反応します。
私がメダカと水質の管理を以下の順で行っています。
①毎日1/3程度は換水する
②メダカの泳ぎを確認しながら、メダカの健康状態を確認する。
③TDSメーターを使い全ての飼育容器の中で異常な値を示す容器がないかをチェックする。
④ ②の経験データ③の科学的根拠から異常がみられる容器についてアンモニア試薬でのテストを実施する。
私は、アンモニアが検出された容器は換水ではなく、十分に水合わせをしながらメダカを別の容器へ移動することで、飼育水のリフレッシュを行っています。
経験上、大雑把な大換水を行うぐらいなら、飼育容器を移動するほうが、メダカの健康の害は少ないように感じているからです。


本音で申し上げると、何千円も何万円も出して購入し、大切に育てているメダカ達を守るために、定期的なアンモニアの検査はとても大切です。
私はアンモニア検査道具と市販のろ過バクテリア、pHの試験紙はお魚飼育で欠かせない必需品だと思います。
元気そうだから大丈夫と思っていた水槽をアンモニア検査して、アンモニアが検出されたことも少なくありません。
アンモニアがNH4+に傾いていると、アンモニアが増えていることに気が付きにくくて、ある日突然ポツポツ死。
そんな事件もありますので、可能な限りアンモニア検査道具と市販の濾過バクテリア、pHの試験紙のご準備をお勧めいたします。
最後に
今まで書いてきたように、室内での加温飼育は、夏場の屋外飼育に比べて水質の管理が数段難しくなります。
安全に飼育するために勘や経験に頼ることは大切です。ただ、せっかく検査薬などが市販されているのですから活用しない手はないと思います。
他の記事でも書きましたが、
上下水道の水質をチェックするプロの方でも、色や臭いでおおよその水質は想像できるそうですが、最終的には必ず試薬やデジタルメーターで水質チェックをされているそうです。
ですから、みなさまにも予算の許す範囲で試薬や試験紙を使って水質を確認されることをお薦めします。
最後までご覧いただいてありがとうございました。
