みなさまは、外飼いだけでなく、メダカの室内飼育の経験もありますか?
私は小さいながらメダカ屋さんを経営しているので、室内でもたくさんのメダカを飼育しています。
私の経験上ですが、メダカの室内飼育って外飼いに比べてやや難しくて、油断していると一匹ずつ死んでしまうことも少なくありません。
そこで今回は、私が室内飼育を成功させるために、何年も悩みぬいた経験とメダカの飼い方のコツをご説明させていただきます。
みなさまの中にも、メダカの繁殖や品種改良のために、この冬から室内での加温飼育にチャレンジする方、予定の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私が初めて室内飼育にチャレンジした頃は、メダカが一匹ずつ死んでいく「ポツポツ死」が止まらなくなり、何度も何度もメダカの飼い方の壁にぶつかって悩みました。
一匹ずつ死んでいくメダカを救えずに、死んでいくのを見送るだけの日々って、本当に苦しいですよね?
どうしても解決できずに、先輩ブリーダーさんに相談したり、夜な夜なネットで検索をしたりと、室内飼育には本当に苦しんだ記憶しかありません。
今日は、そんな私の経験を中心に、室内の加温飼育の飼い方のコツについてご説明していきたいと思います。
以下の記事に、メダカが一匹ずつ死んでいく「ポツポツ死」の対策をまとめています。
メダカの室内での加温飼育って難しいの!?
私個人的には、メダカの室内での加温飼育は、難しい面とやり易い面の両面があると感じています。
ご意見はブリーダーの方によっても様々だと思いますが、今回は私が感じていることを記載させていただきます。
私が、メダカの室内飼育を難しく感じる理由は、メダカが強い水流を嫌うので、熱帯魚のように高性能の濾過フィルターを使えないことにあります。
アンモニアを分解できるバクテリア(硝化菌)は、水中を漂う生物なので、メダカの糞をスポイトで吸い出す程度でも、水と一緒に減ってしまいます。
だからと言って、濾過に必用なバクテリアを守るために、糞や餌の食べ残しを放置するのも危険です。
小型水槽でのメダカの飼い方は、バクテリアの活用に関して矛盾だらけなんです。
だから、室内の小型水槽でのメダカ飼育は、水質の維持に凄く気を使います。
特にメダカの室内飼育が難しいと感じる点
①メダカにとって有害なアンモニアは、水中で「害がないアンモニウムイオン(NH4+)」と「有害なアンモニア( NH3)」のどちらかの形で存在しているが、どちらの比率が増えているかは判断できない。
メダカの水槽の水を加温すると、メダカ飼育がさらに難しくなるんですよ。
ここからは、以下の表を念頭にお読みください。
具体的には
水温が下がる⇒ 毒性がないアンモニウムイオンNH4+ の比率が高くなる⇒アンモニアの害が少なくなる
水温が上がる⇒ 毒性が強いアンモニアNH3の比率が高くなる⇒全体の毒性が強くなる
また、水を加温して水温を上げていく行為は、水中のアンモニアの総量に対して有害な アンモニア(NH3)の比率を高める行為になるので、水温を高くすると水が有害化しやすくなります。
つまり、同じようにアンモニアが溶けている水でも、水温が高いとメダカにとって害が強くなる可能性が高いということになります。
当然、アンモニアが0であれば、水温が高くても低くても違いはありません。
ただ、アンモニアは知らない間に、たった一晩でも増えるので、油断しないようにしてください。
水温との関係は以下の記事にまとめてあります。
②室内飼育では水槽が小さくなることが多く、水流を対策で濾過フィルターの効果も最小限となるため、バクテリアによる濾過効果が期待できない
先程も書きましたが、アンモニアを分解する力がある硝化バクテリアは、水中をフワフワと漂いながら存在するため、メダカの糞を吸い出す程度の水換えでも、排水と一緒にバクテリアを捨ててしまうことになります。
熱帯魚飼育であれば、大型水槽に外掛けフィルターや外部フィルターを使用することが多いので、少々水換えをしても、バクテリアが繁殖した水を一定量温存することができます。
でも、投げ込み式フィルターがメインの小型水槽を水換えすると、排水と一緒に水中のバクテリアはどんどん減ってしまいます。
特に「バクテリアは、1日に全体の2%程度しか増えない」ため、小型水槽で定期的に糞や食べ残しを吸い出しながら、バクテリアを維持するのは困難だとお考え下さい。
私は室内の小型水槽飼育では、思い切ってバクテリアの存在を忘れてしまうか、定期的にバクテリア液を使うかのどちらかの飼い方を選択するようにしています。
種親には、安全のために湯水のようにバクテリア液を使っています。
バクテリアによる濾過を活用したい場合は、こちらの使用をおすすめします。
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バクテリア液の詳細を知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
メダカの室内飼育では高効率の大型フィルターを使えないのが痛いんですよね。
参考に、私が室内で使っている大型フィルターをご紹介します。
このフィルターは、大型なのに水流が優しいので、水槽サイズが60cm以上あればメダカの飼育でも安心です。
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③水槽を加温することで、水換えの足し水時にメダカへ水温変化のストレスを与えてしまうリスクが高まる
メダカを熱帯魚用のヒーターを使って水温を高めて飼育すると、水道の水よりも、室内で貯め水している水よりも、水槽の水温が温かかくなるため、あらかじめ足し水用の貯め水もヒーターで加温しておかないと、水換え時にメダカが寒さで震える結果になってしまいます。
メダカは水温変化に敏感でストレスからダメージを受けやすいので、貯め水の温度にも注意が必要です。
私は安いのに温度調整ができるので、このヒーターを愛用しています。
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更に①~③の要因が絡み合うと
A.冬場の室内での加温飼育は、小型水槽が中心で全体の水量が少ないため、濾過バクテリアが減りやすく、水換えが不足するとアンモニアが増えがち。
B.更に、飼育水を加温するのでアンモニアが有害なアンモニア(NH3)の状態で存在する比率が増え、いっそう飼育水の有毒性が高まりやすい。
C.それにも関わらず、水温変化のストレスの不安から水換えも不足しがち。
となるので、冬の室内飼育は大型水槽中心の屋外飼育に比べて、水質の維持管理が難しく、メダカが一匹ずつ死んでいく「ポツポツ死」の危険性が高くなります。
メダカを室内飼育する飼い方のメリットとは
①室内は雨が降ることなく、外飼いに比べて温度変化も小さく、虫などの外敵も少ない。
室内でメダカが飼育しやすい点はこれくらいです。
雨を警戒して、飼育水槽に蓋をしたり、雨が降って慌てることがないのはメリットですが、基本的に室内の方がメダカ飼育しやすいということはないと考えて間違いないと思います。
室内で難しくなりがちなメダカの飼い方も、大型水槽を使うと随分やり易くなります。
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私は室内でプラ舟とバクテリア液を活用しています。
メダカの室内加温飼育を少しでも安全に行う方法とは?
TDSメーターやアンモニア検査薬、ph測定器があると、勘や経験に頼るよりも数段安全に、メダカを飼育することができます。
と言うより、私は勘に頼るだけのメダカの飼い方は、かなり不安だと感じています。
①TDSメーターの活用
TDSとは総溶解固形物の量で、TDSメーターは水中に溶けている不純物の総量を判断する道具で、水に溶けているものの総量を示す値は単位はppmで表します。
基本的には「TDS」の値が小さいほど水中に溶解物が少ないことを意味します。
ただ、計測される物質は、ミネラルなどのメダカの飼育において大切な成分や、反対にアンモニウムイオンなどの有害物質が含まれるため、単純に「数値が高い=悪い水」ではないことに注意が必要です。
以下に参考となる数値を記載いたします。
一般的な日本の水道水 100 ~ 160 ppm
軟水系のミネラルウォーター 60 ~ 70 ppm
上記を踏まえて、一般的に150ppm程度までは飼育に問題ない水質で、300ppmを超えてくると水質悪化を警戒するサインと考えて良いと思います。
ただ、グリーンウォーター化した飼育水は珪藻類分だけTDSが上昇しますので、一層TDSだけの判断は難しくなる傾向があります。
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②水質の予測とアンモニア検査薬の活用
TDSで水中の溶解物は検出できますが、その内訳をみることができません。
メダカの健康のためにミネラルを添加したりすることもあると思いますが、TDSはそう言ったミネラルにも反応します。
私がメダカと水質の管理を以下の順で行っています。
①毎日1/3を目安に水換えをする
②メダカの泳ぎを見て、メダカの健康状態を確認する。
③TDSメーターを使い全ての飼育水槽の中で異常な値を示す容器がないかをチェックする。
④ ②の経験データ③の科学的根拠から異常がみられる水槽についてアンモニア検査薬でのアンモニアの量を検査する。
メダカが常に泳いでいない水槽は危険だと思ってください。
私は、検査薬でハッキリ分かるくらいアンモニアが検出された水槽は、水換え対応ではなく、十分に水合わせをしながらメダカを別の容器へ移動するようにしています。
経験上、雑に大換水を行うよりも、綺麗な水の水槽へメダカを引っ越しするほうが、メダカのストレスが少ないように感じているからです。
水槽を引っ越す時には、このように30分から1時間メダカを浮かせておけば、水温が馴染むので安心です。
水合わせの詳細については、以下の記事をご覧ください。
大切に育てているメダカ達を守るために、定期的なアンモニアの検査はとても大切です。
ですから私は、アンモニアの検査道具と市販のバクテリア液、pH検査道具は、メダカの飼い方で欠かせない3種の神器だと思っています。
メダカが元気そうだから問題ないと思っていた水槽をアンモニア検査してみたら、アンモニアが検出されてビックリした経験も少なくありません。
アンモニアが毒性のないNH4+に傾いているとメダカは元気なので、ついついアンモニアが増えていることに気が付かず、ある日突然ポツポツ死が始まります。
そんな予想もしない事件がありますので、可能な限りアンモニア検査薬とバクテリア液、pHの試験紙のご準備をおすすめいたします。
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最後に
ここまで書いてきたように、室内でのメダカの加温飼育は、夏場の外飼いに比べると、アンモニアの毒性変化やバクテリアの不足などで、水質の管理が数段難しくなります。
メダカを安全に飼育するために勘や経験に頼ることも大切です。
ですが、アンモニアの毒性変化は勘だけで把握しにくいところだと思います。
せっかくアンモニアの検査薬が市販されているのですから、便利で確実な道具を活用しない手はないと思います。
他の記事でも書きましたが、上下水道の水質をチェックするプロの方でも、色や臭いでおおよその水質は想像できても、最終的には必ず試薬やデジタルメーターで水質チェックをされているそうです。
プロが道具を使うのですから、私たちが使っていてもおかしなことではないと思います。
みなさまにも、予算の許す範囲で試薬や試験紙を使った水質検査をおすすめします。
最後までご覧いただいてありがとうございました。
この記事がみなさまのお役に立てると嬉しいです。