
最近のメダカブームを受けて、本気でメダカ販売での開業や、副業での収益化を目指していらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
私は、もともと熱帯魚が好きで淡水魚の飼育経験が20年以上あり、その流れで10年くらい前からメダカの飼育を始めました。
そして、離島への移住を切っ掛けに増えたメダカを販売するようになったことが「アクアショップめだか屋SUN」を創業した切っ掛けです。

最初からメダカのお店をするつもりでメダカの飼育を始めた訳ではありませんが、気が付くとお店と呼べる規模まで成長できた感じです。
具体的な金額は伏せておきますが、メダカを中心とした淡水魚の販売で、主婦が就職して得られるお給料+αくらいの収入を得ることができています。
今回は、私がお店を創業して成長させるまでのノウハウをご紹介させていただきたいと思います。
多様化していく社会の中で、メダカ販売に限らず、ご自身のスキルや得意な分野を生かして、起業や副業を模索していらっしゃる方は少なくないと思います。
私が離島に移住した理由の一つに低廉な費用で起業したいとの希望がありました。
最初から小売業を始めることは決めていましたが、実際に何を販売するかを決めて軌道に乗せるまで、悩みと失敗の連続で貯金を切り崩していく日々が続きました。
最終的に辿り着いたのが、趣味と実益を兼ね備えることと、離島の流通の不便を解消できるビジネスということでメダカの販売です。
今も少しの利益で設備投資を繰り返しながら、まだまだ小規模ですがここまでお店を成長させてきました。
今回は、実際に私がめだかのお店を育てる間に取った戦略や、実際の歴史などをご紹介させていただきます。

最初は、道の駅で自分で手作りした雑貨を売っていました。
「めだか屋SUN」の前身は「雑貨屋SUN」で、雑貨屋SUN時代も手作り雑貨をに販売していました。
正直、小物の類は余程センスがないと100均に適いません。

【STEP1】いきなり過大な投資をしない

私もTwitterやInstagramを運営していますし、そこで宣伝のようなこともしています。
インスタのタイムラインの中で、実際にメダカの販売店開業された方の記事を拝見することが多いのですが、個人的に思うのは『設備や広告にお金を掛け過ぎてそうだな・・・私には怖くてできない』です。
最初から大きなお店を借りたり、オリジナルのステッカーを作ったり、旗やのぼり、たくさんの飼育容器を準備したり、夢を大きく描きたくなる気持ちは理解できます。
でも、最初はグッと我慢してコストを抑えながらの開業をおすすめします。

ちなみに私は今でもステッカーも看板も自分で作っています。
お客さんが来ない時間を持て余したら自作を頑張りましょう!


貯金が沢山ある方や、本業の収入が多い方はこの限りではありません。
最初から広告宣伝をガーンとやって、いきなり派手にOPENする方が、短期間で知名度も上がって集客も見込めます。
ただ、今回は私のような個人が貯めた貯金くらいの予算から起業するお話ですので、ご理解をお願いします。
簡単にマーケットのお話
私が、お店を開いている場所は、人口3万人くらいの小さな離島の小さなマーケットです。
②オークションなどネット販売は、離島で流通の便が悪く、お届けに日数がかかり死着リスクが高いため断念した
上記から、私は安定して売上が伸びるまで慎重にお金の使い方を吟味してきました。
メダカの販売を目指される皆さまも、メダカの繁殖には大きな繁殖場が必要なので、人口密度が高い都市部やそこに隣接する場所で創業される方は少ないと思います。
私のように離島でなくても、周囲のマーケットの規模はそれほど変わらないのではないでしょうか?
ですから、起業の途中で資金ショート(お金を使いつくすこと)して燃え尽きないよう、最初のうちは一つ一つ吟味してコストを抑えながらスモールビジネスに徹することをおすすめします。
〇創業当時

後でも書いていますが、最初はお客様がいなくて時間を持て余すので、看板類は自分でカッティングシートを切って作っていました。


これが、私の創業当時の写真です。
奥に並んでいる黒い容器だけで、メダカを販売をしていました。
棚は手作りだし、奥の孵化用の容器をDaisoで買ったくらいで、使ったお金は2万円以下だったと思います。

2万円だったら失敗しても諦めるのは簡単ですよね。
成功するには覚悟も必要かもしれません。
でも、みなさまに楽しみや安らぎを売る仕事で、店員がお金に困って心に余裕がないのはマイナスだと思いますよ。
『覚悟がないとダメだ!』そう仰る方もいると思います。
ただ、私が起業で必要と考えることは、できるだけ長く経営を継続できる”運転資金”の確保だと思っています。
ですから、創業当時は可能な限りお金を温存することがベターだと思います。

上の写真で使用している容器はこちらです。
30リットルも水量があり、取っ手のロープあるので運びやすくて便利ですよ。
〇創業から4カ月後

この写真は、創業4か月夏場の利益で少しずつ拡大していたころの写真です。
この時点では、利益をすべて設備投資に回していたので、全く儲かってる印象もなく、ただただ起業の夢だけを追っていた夢追い人の頃の写真です。

でも、少しづつお客さまも増えてすごく楽しい時期でもありました。
〇創業から2年

だんだんお店らしくなってきたでしょうか?
でも、このころまでは初めてのお客様から「何屋さんか不明で怖かった」と言われることが多かったです。


〇創業から2年3カ月

この写真が創業2年目の夏の写真です。
水槽の水量が少ないとメダカが落ちやすいので、トロ舟や水量110リットルの大型容器を入れて、やっとお店っぽくなり始めた頃です。

横からの写真だから中が見えますが、道路からは遮光ネットで中が見えなくて、謎のお店だったらしいです。


〇創業から2年4カ月
この写真は2年目の”夏”の写真です。
雨対策と日差し対策のために、Daisoさんのアイテムを中心に日除け屋根をDIYしました。
繰り返しになりますが、創業時期の基本はできる限りお金を使わずに運営することが大切だと思います。
これは創業1年半で地元のケーブルテレビに取り上げていただいた時の写真です。

長い期間継続していればチャンスがやってきますよ!
こういった形で、大きな費用を掛けなくてもコツコツ長期間運営して行けば、着実に口コミでビジネスの芽が育っていきますので、繰り返しですが初期投資を抑えて運転資金を温存するように心がけてください。
長く営業していると、少なからずチャンスに恵まれることもあるので、限界まで諦めないことも成功のために必要です。


〇創業3年目突入
これが現在の創業3年目の写真になります。
収益で4m×4mの巨大なテラスができて、やっとお店っぽくなってきましたし、お店の裏の繁殖場も3倍に拡大しました。
これからも、少しずつ設備投資を継続しながら、もっとお店を大きくしていきたいと気合を入れているところです。






リスクを負ってお金を掛けなくても、コツコツ長くやって行けば、ビジネスはちゃんと成長していくことがご理解いただけましたか?
ビジネスを成功させるために大切なことは、しっかり長期間踏ん張れるだけの資金を持っておくことです。
【STEP2】最初は売上よりも利益率を重視

最初は、誰も私のお店を知らないですから、月に3組~4組のお客さましかご来店されませんでした。
成功するためには、その僅かな売り上げの中にあっても着実に利益を上げていくことが大切です。
創業当初はお店の事を誰も知りません。
そして皆さまにお店を知っていただくには時間が必要です。

私が口コミが広がったと実感するまでには、約1年くらいは掛かりました。
その時は、急に島の反対側から車で1時間位掛けて来店される方が増えたので覚えています。
開業初年度は、当然来店客もなく、月に3組、4組のお客さまにご来店いただくのがやっとで、月の売上も1万円位だったと記憶しています。
そんな状況の中で、私が着実に成長できたのは、しっかり8割以上の利益率を確保してきたからです。
生き物を扱う仕事は、しっかり繁殖ができて、死んでしまうメダカを最小限に留めることができれば仕入れコストが膨らまず、支払いは電気・水道・餌代くらいなので問題なく運営できていました。

お店兼自宅として母の不動産を無償で借りることができ、家賃が不要だったことは大きかったですね。

最初の種親は親戚の伯父さんからいただいたメダカから始めたので、容器代以外殆ど費用は掛かっていません。
しっかりお客さまが付くまでは節約の意味で、ヤフオクでメダカの卵を販売して電気代を稼いでいた時期もあります。

ヤフオクでの卵販売を悪く言う方も多く、その理由も十分に理解しています。
でも個人的には、画像加工でズルをしないで販売する分には、買いたい方のニーズがあるのだし、お互いに送料負担も小さいので問題ないと思います。
ただし、画像加工でズルする人は嫌いです。
とにかく、スモールビジネスで大切なことは、確実に利益を上げることです。

『今は赤字でも、そのうち売上が上がれば黒字化できる!』みたいなスケールメリット狙いの戦略は、大失敗の原因になりますのでご注意ください。
しっかり現状を分析して、最低でもプラスマイナス0か小幅な黒字にしておかないと長生きできませんよ。
「売上が伸びれば、固定の経費を吸収できて黒字転換できる」と売上アップをひたすら追うような戦略は、「相当数の集客が確実」「既に大口取引先が確保できている」「メダカ販売と別大きな収入源がある」などの、有利な条件がある場合を除けば、失敗の原因になるのでご注意ください。
小さな商売では、今の売上でしっかり利益が出せるように無用なコスト、先に延ばせる投資は行わず、絶対に赤字にならないように努めて、ちゃんと黒字化できてから売上上昇を目指すようにしてください。
商品を仕入れた場合は”仕入値+仕入値の2倍以上の利益”を乗せて価格を決める

生き物を扱う仕事は、販売中に生体が死んでしまったり、仕入で死着するリスクがありますので、価格は最低でも、「仕入値+仕入値の2倍以上の利益」で設定してください。
私はこれを仕入の3倍算と呼んでいます。
分かりやすく言えば、どんなに値段を下げても利益率60%を割らないようにしてください。
生き物を扱っていると、最悪のケースとして全滅で商品の全てを失うことがあります。
それ以前に、魚が店着した段階で死着のリスクがあります。

私の地域は、航空便が使えず魚の輸送に2泊3日掛ることが殆どで、すべての卸業者さんは死着補償をしてくれません。
ですから、仕入れにかなりのリスクを伴います。
そういった意味で、死着の損害を織り込んだ利益計画をたてておかないと危険です。

以下の計算を見ていただきたいのですが、利益率50%以上で販売を行うと、1回死着で在庫が全滅しても、2回目の仕入れが完売できれば、僅かですが利益を出せます。
〇仕入1万円の商品が死着で損失1万円
〇2回目の仕入1万円分が完売で2万円の売上(利益率50%)⇒仕入1万円+利益1万円
⇒結果として利益率50%以下では、2回目の仕入の利益が1回目の補填で消えてしまう。

利益率が50%(仕入値と同額の利益額を含めた価格設定)で販売を行うと、死着したときの損害を回復できず倒産しますよ!
これで60%以上の利益率を設定しておけば、1回死着があっても僅かですが利益を出せることがご理解いただけると思います。

すこしでもメダカが死んでしまうロスを減らすために、以下の記事をご参考にされてみてください。
私が赤字と黒字の瀬戸際で、必死に導き出したメダカや熱帯魚の育て方のコツです。
資材の仕入は徹底して安いものを探す

当たり前のことですが、資材や飼育道具を購入する時は、徹底的に比較して安いものを探す努力が必要です。
ただ、お魚を扱う仕事で、水道代や水質管理のグッズをケチると、結果として魚の全滅につながり、利益率を悪化させる原因になりますので、必要な道具の見極めはとても大切です。
というより、水質管理の道具だけはケチってはいけません。



アンモニアの検出キットやpH試験薬、市販のろ過バクテリア、水質調整剤など、水質の維持・管理のコストを惜しむと、逆に魚が全滅して大損害につながる可能性が高まります。
メダカのお店をするなら絶対にケチらないほうがいいです。
【STEP3】しっかり利益を継続できるまでは雇用や借金をしない

いきなり結論ですが、支払いが無ければ資金ショート(お金がなくなってしまう)もなく、心が折れない限り倒産はありません。
規模が小さいうちの電気代や水道代はお小遣いの範囲で賄えますから、ちゃんと節約していけば本当に趣味程度しかお金がなくても営業はできます。

絶対に逃げない不退転の覚悟が必要という方もいるかもしれません。
でも、私はリスクを抱えて悩みながらのビジネスはしたくはありません。

メダカの販売店で「これが売れないと倒産だ」とか焦ってギスギス目を三角にとがらせて売ろうとしても良いことないですよ!
だから、借入れの返済や従業員の給料で支払いを増やすことは絶対にNGです。
何度も書きますが、ビジネスを成功させるためには、可能な限り長くビジネスを継続させることが大切です。
そして、その為に大切なことは『支払いが無ければ、基本的に倒産しない』を理解することです。
事業は、支払期限までに返済や給与を払えなくなったときに倒産するんです。
つまり、返済や給与の支払いを持たない事業であれば、衣食住さえ確保できれば、無限に営業を継続できます。
ですから、スモールビジネスのうちは借金や雇用は絶対に避ける方が賢明です。

ここまで私流の経営術をご紹介いたしましたがいかがでしたか?
私のノウハウが正しいか、正しくないかは、私のお店の成長を見ながら、皆さまご自身で判断いただければと思います。

当時、使用していた備品などにフォーカスした2番目の記事です。
もっと、どんな道具を使ったのかとか、どんなイベントがあったのかなど気になる方は2番目の記事をご覧ください。