せっかくヒレ長メダカの卵を採卵して成魚まで飼育しても「全くひれが伸びなかった」や「尾びれが伸びたけどパッとしなかった」みたいな経験はありませんか?
あれこれメダカの飼い方を工夫して、頑張って成魚まで飼育したのに、メダカのひれが殆ど伸びず、普通のメダカに育ってしまったらガッカリしますよね。
私も最初にマリアージュメダカを飼育した時に「やっぱり〇〇メダカ直系みたいな高級なメダカを種親にしないと、稚魚のひれは伸びないのかな?」って悩んだ時期がありました。
これはメダカの飼い方に問題があったのでしょうか?
それとも、メダカの血統や遺伝に問題があったのでしょうか?
今回は、どうしてヒレ長メダカの子供なのに尾びれが伸びないのか?どのように飼い方を工夫して飼育したら、綺麗にメダカのひれが伸びるのか?の疑問について解説をさせていただきます。
最近の改良メダカは、年々リアルロングフィン・レッドクリフ・フロマージュなど、ヒレ長メダカのロングフィンの表現が進化し続けていて、これからも更にヒレ長メダカの人気が高まりそうな勢いですよね?
ところで、せっかくヒレ長メダカを採卵・飼育しているのに、なかなか親メダカのように尾びれが伸びず、ヒレ長メダカに育たす悩んだ経験はありませんか?
ビックリされるかもしれませんが、ヒレ長メダカのひれの長さは、メダカの血統だけでは決まらず、意外にもメダカの飼い方の影響が大きいようです。
でも、どのように飼い方を工夫してメダカを飼育したら、綺麗にメダカの尾びれが伸びるのでしょうか?
今回は、ヒレ長メダカのひれを綺麗に伸ばす飼い方について、メダカの飼育方法の注意点を解説をさせていただきます。
せっかくヒレ長メダカを飼育するのなら、横見で眺める飼育水槽にもこだわりたいですよね!
ヒレ長メダカのひれを綺麗に伸ばす要素は遺伝など選別交配や血統の結果だけではない
みなさまご存じですか?
ヒレ長メダカのひれは、血統だけで伸ばせるわけではないんです!
もっと言えば、最近のロングフィンのメダカの尾びれは、たとえメダカの血統が良くても、メダカの飼育方法が悪いと、なかなか伸びてはくれません!
メダカの血統だけでは、簡単にヒレ長メダカのひれは伸びてくれません。
※メダカの飼育条件が同じ場合は、血統が良いメダカほど綺麗に尾びれが伸びますが、血統が良いからといっても飼い方を間違うと必ず尾びれが伸びるわけではありません。
結論から申し上げると、メダカのひれを伸ばすために一番大切な飼育の要素は、成長期の水温と飼育密度のようです。
併せて、その他餌などの要素についてもご紹介させていただきます。
ヒレ長メダカのひれを伸ばすために効果的なメダカの飼育方法について
ヒレ長メダカの尾びれを伸ばすメダカの飼い方はコレが重要です!
大切なメダカの飼い方のコツなので、しっかりメモしてくださいね。
①水温28℃以上の加温飼育をする。
②体長が1.5㎝程度まで育ったら、メダカ1匹あたり水量が2L以上になるように大型水槽を使って過疎飼育を行う。
③「白」または「クリア(透明)」の水槽を使って明るい環境でメダカを飼育する。
④栄養価の高い餌を少量づつ、こまめに与える。
ヒレ長メダカのひれを伸ばす飼い方は水温28℃以上の高水温で飼育することが大切
以前からメダカの体外光(たいがいこう)を伸ばす飼い方と同様に、夏場の水温が高い時期に飼育する方が、メダカの尾びれが伸びやすいと言われてきました。
そのため最近までは、夏の暑い時期に、日向で黒い水槽を使ってメダカを飼育する方法が、メダカのひれを伸ばす定番の飼い方でした。
現在では、メダカをより安定して高い水温で飼育すために、熱帯魚用のヒーター使用して加温飼育する方法が、メダカの尾びれを伸ばす飼い方として一般的になり始めています。
幹之メダカの体外光も同様ですが、最低水温が28℃を下回らないように飼育すると、よりロングフィンのひれを伸ばす効果が高いようです。
メダカを加温飼育をする際には、様々なパターンの水温に対応できるよう、温度を変更できるタイプのヒーターがおすすめです。
動画で見る加温して飼育されたマリアージュメダカとそうでないメダカとの違い
下の画像は私が過去参加していた「長崎めだか橋」でご提供いただいた動画です。
同じ種親から産まれたマリアージュメダカですが、一つ目の動画は室内で加温飼育したメダカで、二つ目の動画は屋外で飼育したメダカです。
しっかり加温飼育したマリアージュメダカの方が、綺麗に尾びれも背びれも伸びていますよね?
こちらが、室内で加温飼育したマリアージュメダカ。
こちらは屋外の黒い水槽で、日光だけで加温して育てたマリアージュメダカです。
ただし、加温飼育は水が傷みやすく、アンモニアの毒性も高くなりやすいので、水質が悪化しやすく、メダカが病気に感染するリスクが高くなります。
プラ舟などの大型水槽でメダカ1匹あたり2L以上の水量を目安に過疎飼育を行うとひれが伸びやすい
メダカを含め魚たちは、より広い水槽で育つほど、速く大きく育つ特徴があります。
私は、この特徴こそがメダカを過疎飼育するとひれが綺麗に伸びる理由だと思っています
一般的に、魚は大型水槽で飼育すると成長が速くなり、より広々と飼育する方が尾びれも長く綺麗に伸びる傾向があります。
他の記事で書いていますが、メダカのラメを増やすコツも、プラ舟などの大型水槽で広々とストレスなく育てることです。
大型水槽で広々とストレスフリーに育てることが、メダカを綺麗に育てる近道かもしれませんね。
先程も書きましたが、メダカを広々と飼育する大型水槽の代表格と言えばプラ舟ですよね。
このプラ舟は価格もお手頃なのでおすすめです。
ちなみに、写真の手前の方の丸い水槽は、下のリンクの万能容器です。
万能容器は取っ手もあって運びやすいので、メダカの飼育に最適です。
「白い水槽」または「クリア(透明)水槽」を使って明るい環境でメダカを飼育することが大切
最近、メダカの黒色の色素(黒色素胞)が発達すると、体外光の素になる虹色素胞が育ちにくくなると言われています。
そこで、メダカの保護色の機能(外敵から隠れるために黒い水槽では体の色を濃く、白い水槽では体の色を薄くする性質)を逆手にとって、明るい水槽でメダカを飼育することで、意図的にメダカの黒色の色素を抑え込み飼育する飼い方が確立されてきました。
そして、ロングフィンの尾びれの成長も、体外光と同様に虹色素胞との関連性が高いと考えられているので、体外光と同じく「白」や「透明」の明るい水槽が、ヒレ長メダカの飼育にも用いられるようになりました。
私もメダカを飼育する時の目的に応じて、メダカの水槽の色を変えるようにしています。
基本的な飼育水槽の色の考え方は、以下の記事にまとめていますので、興味がある方は参考にしてみてください。
私は、種親の管理と室内飼育は、メダカ水槽の定番のNVボックス13の「黒」と「透明(クリア)」を使用しています。
飼育に使用する水槽の規格が統一されている方が、使う時にも収納する時にも便利ですし、何より「NVボックス」は価格の割に耐久性が高いのが魅力です。
ちなみに、写真の中の深い白い水槽は、Daisoさんで買ったコンテナ容器です。
Daisoさんのコンテナ容器は、NVボックスと比べると、価格分なのかペナペナで剛性感に欠けるので、室内飼育専用の水槽として使っています。
上の画像がNVボックス13(リットル)の透明タイプです。
NVボックスは耐久性と収納性がダントツ良いので、「白」または「透明(クリア)」水槽をご検討でしたら、NVボックスの「クリア」がおすすめです!
こちらは水量が22LあるNVボックスで、先ほどの13Lに比べて一回り大きいサイズの水槽です。
私は、ヒレ長メダカのひれを伸ばす時や、種親の産卵時の水槽に、水量に余裕がある大型水槽を愛用しています。
稚魚や針子に栄養価の高い餌をこまめに与えると成長期間を速くする効果がある
メダカは胃袋を持たず、人間のようには食い貯めができないので、一度にたくさんの餌を与えると、餌を食べ残してしまい、食べ残された餌が水槽の底に沈んで腐り、水槽内の水質悪化原因になります。
そこで、少しでも餌の食べ残しを減らして、かつ確実にメダカへ餌やりをする手段として、 栄養価の高い餌を少量づつ繰り返し与えることが必要になります。
私が調べた限り、生き餌を除くと稚魚用の粉餌はハイグロウSSが人気のようです。
ちなみに私は、キョーリンさんの「メダカの舞ベビー」を使っています。
メダカの成長期間を速くするために、普段の餌を増やしたいところですが、餌を与えすぎて食べ残しが腐って水を汚すのも怖いんですよね。。
でも、キョウリンの「メダカの舞ベビー」は、どれだけ眺めていても水面から沈まず、ずっと浮いていてくれるので、食べ残されても回収しやすく安心です。
餌が余っても、水面をスポイトで軽く吸ったらOKですもんね!
「メダカの舞ベビー」は私がおすすめする稚魚用の餌です。
針子用の餌には、市販の粉の餌だけでなく、ミジンコやゾウリムシなどの生き餌を併用すると、より効果的な餌やりが実現できます。
これは、私が増やしたゾウリムシの写真です。
毎日ブラインシュリンプを孵化させる手間が苦でない方は、ブラインシュリンプを与える方が圧倒的に成長が速く、歩留まり(生存率)も高くなります。
ブラインシュリンプを孵化させることは、それほど難しくないので、私はブラインシュリンプばかり使っています!
ミジンコはこんな感じで増やしています。
生き餌の詳しい増やし方や飼い方は、以下のリンクからそれぞれの記事をご確認ください。
尾びれを伸ばす飼い方は幹之メダカの体外光を伸ばす飼育やラメメダカのラメを出す飼育と共通点が多い
私の経験だけでなく、様々な方のお話を伺ったり、ブログを拝見して情報を得ていますが、メダカのひれを伸ばす飼い方と体外光を伸ばす飼い方は、ほぼ同じ飼育方法です。
実際に私もここに書いている飼い方を実践していますが、しっかりと効果を実感できています。
ですから、ヒレ長メダカの遺伝と、体外光があるメダカの品種は相性が良いです。
また、ラメメダカのラメを増やす飼い方(遺伝的に持っているラメを減らさないための飼育方法)も、ストレスを与えず大型水槽で広々と育てるといった点で、ひれを伸ばす飼い方と共通点が多いです。
ヒレ長メダカのひれを伸ばす飼育と柄物の色揚げ方法は真逆の関係にある
三色メダカなど柄を楽しむ、いわゆる「柄物タイプ」のメダカは、水温が24℃以下の低温(低温でもないですが…)で育てると、色が揚がると言われています。
そのため、三色ヒレ長メダカを作るためには、採卵後ここまで書いてきたひれを伸ばす飼い方を実践して尾びれを伸ばしてから、逆に24℃くらいの低い水温で黒い水槽を使って柄を出す必要があります。
私も三色ヒレ長メダカにチャレンジしていますが、ヒレ長メダカと三色メダカの色揚げ方法は真逆なので、はっきり言って職人技です!
メダカのひれを伸ばす飼い方と、三色や紅白メダカの柄を綺麗に出す飼い方は、飼育のコツが真逆なので、正直言って相性が良くありません。
ヒレ長メダカ特有の飼育の難しさと病気の予防対策について
ご存じだと思いますが、一般的にヒレ長メダカは病気にかかりやすいです。
これまで選別交配を重ねてきているので、近親婚が増えた結果の血統的な弱さもあるかもしれません。
ブリーダーさんも、強いメダカを作り出すために、定期的に戻し交配をするなど苦心を重ねていらっしゃると思いますが、どうしても改良が進んだメダカは、河川に住む原種のメダカに比べると弱くなりがちです。
ヒレ長メダカが感染しやすい水カビ病と尾ぐされ病の対策
メダカのひれを伸ばすためにヒーターを使った加温を行いますが、水温が上がるとアンモニアが悪さをしやすくなるので注意が必要です。
その他、メダカのひれに選別網で掬った際に擦れ傷が付くと、その傷に悪い菌が付いて「尾ぐされ病」や「水カビ病」の原因になります。
メダカを選別する時に作った擦れ傷に、「水カビ菌」や「カラムナリス菌」が付くと病気に感染してしまいます。
ですから、ヒレ長メダカを飼育するのなら「プロテクトX」などの粘膜保護剤でスレ傷をケアすると安心です。
以下のリンクから「プロテクトX」の詳細をご確認ください。
ヒレ長メダカは水カビ病などの病気に感染しやすいので、治療や予防に殺菌薬のメチレンブルーも欠かせません。
ヒレ長メダカを飼育するなら、濾過フィルターにもこだわりたいですよね。
テトラの「VAX-60」は、シャワーパイプからの優しい水流なので、強い水流が苦手なメダカの飼育にも、安心してご使用いただけます。
大型の外部フィルターをお探しなら、「VAX-60」がおすすめです。
私は「水ごとネット」を使用して、メダカの体や尾びれに擦れ傷を付けないようにしています。
「水ごとネット」を使用すると、水ごとメダカを掬うことができるので、網に直接メダカの尾びれなどが触れることがなく安心です。
水ごとネットは、ヒレ長メダカの病気予防アイテムとしておすすめの1本です。
私は可能な限り、この「水ごとネット」を使って、メダカに擦れ傷を付けないように対策しています。
可能な限りというのは、「水ごとネット」は構造上、水の抵抗が大きいので、元気なメダカを追うと正直言って追い付けません。
どうしても、キャッチできないときには、諦めて普通の選別網を使かうこともあります。
最後に
マリアージュキッシングワイドフィンを見た方は、メダカが熱帯魚の「グッピー」や「ベタ」のように、華やかに進化していく未来を想像されたのではないでしょうか?
私も最初にモルフォやマリアージュを見た時には、あまりに綺麗でとても感動したのを覚えています。
毎年と言わず、半年ごとに新しい表現タイプが登場するメダカ達。
来年には本当に「ベタ」のようなメダカが出ているかもしれませんね。
その時のために、ここでヒレ長メダカの飼い方をマスターしておくと安心です。
この記事が、みなさまのお役に立てると幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
メダカの色揚げはこちらをご覧ください。
必要な情報は、すべて網羅できていると思います。