メダカをはじめて飼育される方で、どんな餌を揃えたらよいか悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
また、メダカの飼育に慣れてきて、もっと本格的な飼育にチャレンジするために、色々餌で悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
餌って単純そうですが、ミジンコなどの生き餌にまでこだわり始めると、本当に覚えることも、悩むことも多いですよね!
今回は、みなさまのお役に立てるように、メダカの餌の成分や餌やりの方法、生き餌の知識などについて、ワンストップで詳しく解説させていただきます。
みなさまは、メダカの餌に何をお使いですか?
私がメダカの飼育をはじめてしばらくは、稚魚用に「キョーリンさんのメダカの舞ベビー」と成魚用に通称「金パケ」を1日2回、朝夕に給餌して飼育していました。
ただ、飼育に慣れて色々突き詰めて調べるようになると、メダカを元気に育てていくには、様々な餌を組み合わせていく必要があることがわかり、すごく悩むようになりました。
みなさまの中にも、現在進行形でお悩み中の方も多いのではないでしょうか?
餌は「速く大きく育てたい。」とか「健康第一で育てたい。」そんな飼育のニーズや、スタイルでも選び方が変わってきます。
今回は、みなさまのお悩み解決のために、私が学んだ具体的な餌の種類や与え方について、できるだけ簡単な表現でまとめていきたいと思います。
話の中で出てきたメダカの舞ベビーと金パケはコチラです。
どちらも定番中の定番ですから、初心者に安心してお使いいただけます。
メダカの成長と餌の選び方について
孵化直後から体長1㎝程度の若魚までの期間
孵化して2週間以内のメダカの稚魚を針子(はりこ)と呼びます。
針子の頃は、泳ぐだけでも一生懸命の状態で、口もすごく小さく餌を食べるのもあまり上手ではありません。
針子である2週間を無事にのりきることができると、メダカの稚魚の生存率は飛躍的に向上します。
孵化してからの1カ月の食事が、その後のメダカの成長へ与える影響がとても大きく、この時期にどれくらいしっかり食事ができたかが、立派なメダカを育てるためにとても大切になります。
稚魚がしっかりと餌を食べて、十分に栄養を摂取できていれば、全長が1㎝位の若魚サイズに育つ頃には、ふっくらとしてメダカらしい体格に育ちます。
無事にサイズが1㎝を越えることができたら、次は産卵・繁殖に向けて餌の種類や回数を換えていく必要があり、粗タンパク質が50%前後の高タンパク質で、栄養価が高い餌を与えていくと、メダカがよく育ち、産卵を早めることができます。
孵化直後の針子飼育は、浮かせて区分けができる「わけぷか」があると便利ですよ。
メダカの糞からわかること
若魚サイズまでメダカが成長すると、餌やり後のメダカの糞が確認できるようになってきます。
糞からわかる情報って結構あるので、面白いですよ。
糞が確認できるようになったら、その糞の長さや太さにや色などに注目してください。
糞が太くて短かい場合は、栄養価が高い代わりに消化が悪い餌を食べていることを意味します。
逆に、細く長い糞をしている場合は、消化が良い代わりに栄養化が少なめの餌を食べてる証となります。
糞の色で緑色が強ければ、水槽内にしっかり植物プランクトンなどが増えて、メダカが捕食できているのかもしれませんね。
ただし、粗タンパク質が50%を超えるような、極端に栄養価が高い餌ばかりを与えて続けると、高い成長が期待される反面、消化不良をおこして病気になってしまうリスクも高まります。
逆に、タンパク質や脂質の含有量が少ない、低カロリーの餌にばかり偏ると、栄養が足りずメダカが痩せたり、産卵ができなくなる可能性があります。
成長と健康のバランスを考えることは大切なことです。
栄養価と消化の良さはトレードオフの関係にあるので、糞の様子を目安にしながら、みなさまが期待する目的に合わせて、餌を調整していく必要があるわけです。
以下の記事に、餌の栄養価などまとめていますので、この記事と併せてご覧ください。
ハイグロウは栄養価が高い餌の定番で、私が知る限りブリーダーさんの愛用率が高い良い餌です。
逆に、メダカの舞のメンテナンスは消化吸収の良さを追求した、体調不良時に有効な餌の代表格です。
この二つの餌は対極の存在です。
餌の栄養価が高いと、それだけよく太って早く成長しますが、逆に消化に悪くなる傾向にあるので、もともと体調が悪いメダカに与えると、更に体調を悪くするリスクが高まります。
何事もバランスが大切ですよ!
産卵時期に適した餌について
産卵が始まる時期のメダカの餌の量は、1分程の短時間で食べきれる量を基準にすると安心です。
そして、1日に何回でも、2時間くらいの間隔をあけながら、餌を食べさせてあげると、ふっくらとした体型に成長し卵の産みも良くなります。
このような餌やり方法を飽和給餌(ほうわきゅうじ)といいます。
餌の回数と最適な餌の種類について
メダカは雑食性の生き物です。
天然のメダカや屋外飼育のメダカ達は、ミジンコやゾウリムシなどの動物プランクトン、ケイソウやクロレラなどの植物プランクトン、ミジンコ、ボウフラ、浮草などの植物、小さな昆虫など、様々な天然の餌食べて成長して行きます。
餌の基本知識
メダカの餌には、水面に長く留まる浮上性の餌がおすすめです。
水槽に餌を入れて眺めていただくとわかりますが、メダカの口は上向きについていて、水面の餌を食べることに適した体の作りになっています。
特に、産まれたばかりの針子や稚魚は、深く潜ることが苦手なので、浮いている餌しか食べる事ができません。
逆にメダカは、水底の餌を食べるのが苦手です。
食べ残されて水槽の底に沈んでしまった餌は、腐って水質悪化の原因になります。
ですから、餌の食べ残しがある場合は、速やかに取り除くようにしてください。
ただ、産卵を始めるくらいまで成長したメダカは、沈んでしまった餌も器用に水底をつついて食べますので、ある程度まで大きく成長すると、稚魚のころほどは食べ残しを気を遣わなくてもよくなります。
ただ、油断してあまりに餌が過剰になると、食べ残しが水質を悪化させたり、古い餌を食べたメダカが病気になる原因になりますので、餌やりの際に注意してあげてください。
餌の食べ残しの放置はとても危険です。
適切な餌の量については、以下の記事を併せてご確認ください。
餌の適量の見極め方法
通常1回に与える餌の量の目安は、1~2分以内で食べ尽くせる量を基本としてください。
私は、基本的に〇分で食べ尽くす量という表現は好きではないのですが、(※飼育匹数や水温、過密状況などの情報が不明なので)、ただ表現をするとしたら短時間で食べる量に留める方が安心だと思います。
餌を与える量の目安を、5分前後でため尽くせる量と書いている記事を見かけます。
メダカの餌は底に沈むものも多く、底に沈んだ食べ残しをつつくのも苦手なので、さっと完食できる量の餌が安全だと思います。
メダカが目に見えて痩せてきたら別の話ですが、そうでななければ、基本的にメダカの餌は少な目でも問題はないと思います。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
餌を与え過ぎて食べ残しが増えると、水槽の水が汚染されメダカの食欲が落ち、更に食べ残しが増えていきます。
この状態を、私は「食べ残しの負のスパイラル」呼んでいて、餌の与えすぎは負のスパイラルに陥ってしまうリスクがあります。
餌が不足しても、ただちにメダカが死んでしまうことはありません。
以上のことから、1回に与える餌の量を少なくして、できる限り回数を多く与える給餌方法が、メダカにとって最も優しい餌やりの方法と言えます。
私もメダカの安全のため、時間が許す限り1分で食べ尽くせるく量を、複数回に分けて与えるようにしています。
最初は餌の量の調整が難しいと思いますが、メダカが餌を食べている姿を観察しながら、水槽の底に食べ残しが沈まないように、少しずつ与えてあげながら感覚を掴んでください。
手間を惜しまず、必ず餌の食べ残しをスポイトなどで吸ってあげてください!
季節ごとの餌の量の調整
メダカは、温かい時期には活発に動き回りますが、涼しくなってくるにつれて活性が落ちはじめ、冬になって水温が10℃以下に落ち込むと、冬眠に近い状態となり水底でじっと動かなくなります。
ですから餌の量や回数も、メダカの活性に合わせて変えていく必要があります。
春から夏、秋までの気温が高くメダカの動きが活発な季節は、1日2~3回少な目に餌を与えてあげてください。
餌やりの基本は、少量をできる限り複数回です。
産卵中は、食べ残しに注意しながら、何度でも食べたいだけ与えてOKです。
このような餌やり方法を、飽和給餌(ほうわきゅうじ)と言います。
10月を過ぎて気温が下がりメダカの活性が鈍ってきたら、餌の回数を1日1回程度に減らし、1回あたりの量も少なくしていってください。
そして冬が深まり、メダカがあまり動かなくなる時期には、餌を止めて春まで休ませてください。
餌を与えてもメダカが水面に上がって来なくなったら、餌を止めるサインです。
餌をあげる時間帯
餌をあげる時間帯に明確な決まりはありません。
1日に何度も餌をあげる時期は朝と夕に、そして寒くなって餌やりが1日1回になったら、朝に与える方が望ましいようです。
ただし、日没(室内であれば消灯)の2~3時間前に餌を与えてしまうと、メダカの消化不良のリスクが高まりますので、夕方に餌を与える場合は、日没の2時間前までに餌やりを終わらせてください。
餌の種類について
メダカは市販の粉の餌以外にも、ミジンコやゾウリムシ・糸ミミズ・赤虫・ブラ イシュリンプなどの生き餌をよく食べます。
ミジンコやゾウリムシなどの生き餌は、水槽内でいつでも食べられる餌になると同時に、粉の餌と違って水底に沈んで腐ってしまう事も少ないので、餌の量に制限を受けないことが魅力です。
ただし、生き餌も生物なので、水槽内の環境が悪かったり、与えてから相当に時間が経過すると、寿命で死んでしまい、水を汚す原因になるので油断は禁物です。
何事も適量が大切です。
これらの生き餌は、粉の餌に比べて手が掛かりコストも増えますが、栄養価が高いのでメダカにはとても良い選択です。
生き餌の使い方や使い分けについて興味がある方は、以下の記事をご覧ください。
稚魚(針子)時期の餌について
孵化から3日以内の針子に餌は不要
メダカの稚魚は、成魚と少し餌やりの方法が異なります。
メダカの稚魚は、ヨークサックと呼ばれる栄養の入った袋を、お腹に付けた状態で産まれてきます。
孵化したての稚魚は、このヨークサックの栄養が無くなるまでの3日間、餌を食べる必要がありません。
孵化して4日目以降の餌やりについて
孵化から4日が過ぎたら、針子に餌を与え始めてください。
針子は体がとても小さく、食いだめもできません。
そのため、成長に十分な栄養を摂取するために、1日に複数回の餌やりを必要とするので、常に餌が食べられるように、グリーンウォーター(植物プランクトン)やゾウリムシ(インフゾリア)などの微生物を与えてあげると、成長が速くなり、生存率も向上します。
針子の口は小さいので、孵化してしばらくは微粒子の餌しか食べられません。
市販の粉の餌で育てる場合には、大人用の餌をすり潰すか、稚魚用の粒が細かい餌を与えてください。
冒頭でも書きましたが、稚魚は水中に潜ることが苦手で、常に水面に泳いでいるので、稚魚用の餌は沈みにくいように作られています。
針子は、ゆっくりと時間をかけて餌を食べますので、食べていないからとすぐには片づけないようにしましょう。
ただ、稚魚の餌が古くなると、水面でそのまま水を含んで膨張し、食べられなくなります。
しばらく待っても残った餌は、腐ってしまう前に水槽から取り出してください。
針子が1回で食べられる量は少なく、沈んだ餌も食べられないので、少ない餌を何度にも分けて与えることが理想です。
ゾウリムシは、通信販売でも手軽に購入できます。
生き餌の活用について
加工されていない生き餌の中で、最も扱い易くて人気なのはゾウリムシです。
針子に餌として与える時は、濾紙で水分を濾して与えてください。
※ゾウリムシの培養液にはアンモニアが増えている可能性があるので、針子の水槽に混ざらないよう濾す方が安心です。
ただし、生きているからといって与えすぎてしまうと、食べ残しが水質悪化の原因になりますし、ゾウリムシの生き残りが、メダカのストレスなることもあるので注意してください。
その他、ミジンコ、ブラインシュリンプ等を併用すると、更に生存率や成長速度が向上します。
グリーンウォーターは、水中に植物プランクトンが増えて、緑色に変化した水のことです。
メダカの排泄物や、食べ残した餌に含まれる余分な栄養を吸収したり、主成分の植物プランクトンが稚魚の餌になるなど、稚魚の生存率を引き上げる効果があります。
たくさんの餌が必要な稚魚にとって、周りに餌がある環境は理想的です。
興味がある方は、以下の生き餌の記事をご確認ください。
最後に
ここまでメダカの餌について解説させていただきましたが、いかがでしたか?
単順に市販の粉の餌だけを使うのであれば悩むことも少ないのですが、少しでも色揚げや存率を向上させようと思うと、試してみることも、覚えることも増えていきます。
私も、最初はよくわからずに悩んでばかりでしたが、今では随分知識もついてきました。
今回は、私が学んだことがお役に立てればと思い書かせていただきましたが、活用できそうですか?
この記事が、みなさまに喜んでいただけると幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。