いきなりショッキングなタイトルでビックリされた方も多いのではないでしょうか?
最近までは、私もメダカは強くて飼育しやすい生き物だと思って接してきました。
私はメダカの専門店として創業し、今はメダカだけでなくグッピーやベタ、レッドビーシュリンプなども幅広く取り扱っています。
その飼育経験で申し上げると、最近のメダカは、グッピーなどに比べて弱くなり、飼育が難しくなってきたように感じています。
今回は、弱くなったと実感する事、飼育にあたって注意することなどを解説させていただきます。
近年、空前のメダカブームでメダカを飼育される愛好家も増えていらっしゃると思います。
私もメダカ愛好家の一人であり、好きが高じてメダカの販売を始めるほどになりました。
私が、趣味でメダカの飼育を始めた遠い昔は、室内無加温で外掛け式フィルター1つ付けて飼育をしていましたが、問題なく飼育ができていました。
でも、最近の改良メダカは、マメに水換えをしていても、突然体調を崩してポツポツ死んでしまう事故が多いように感じます。
グッピーなどメダカに近い魚と比較しても、本当に最近のメダカは体調が悪くなりやすいと実感しています。
グッピーは、スポンジフィルターを入れて、定期的に水を換えてあげるだけで元気に育ち、子供もドンドン産んで増えてくれます。
ですが、改良メダカを同じ飼育環境で育てても、1/4くらいの確率で、調子を崩す水槽が出て、発見が遅れるとポツポツ死が止まらなくなります。
今回は、私がメダカが弱く感じる瞬間について書いていきたいと思います。
累代の影響による血の濃さ
メダカに限らず累代で改良された生き物は原種に比べて弱くなる傾向があるようなので、累代の影響は大きいと思います。
レッドビーシュリンプなども繊細で飼育は難しいですもんね。
先ほども書きましたが、原種に近い昔のメダカは、現在の改良メダカに比べて数段強かったように思います。
今の私に比べて飼育スキルが低かった当時の私でも問題なく飼育できていたので間違いのない事実のように感じています。
先にお断りをしておきますが、必ずしも累代を重ねる=悪ではなく、目利きのブリーダーさんが顕在化した劣勢の遺伝子を確実にハネて累代することで、強い血統を保つことが可能と伺っています。
ただ、殆どのメダカは著名な繁殖家が品種を発表後、そこから一般の愛好家さんなどが累代を重ねたメダカになりますので、弱い個体が増えてしまうことは仕方がないように感じます。
私は繁殖家ではなく販売店ですので、品種やペアにこだわらず雑多に展示して、お好きなメダカを選んでいただくようにしています。
その際にこのメダカはMIXでしょう?と仰られる方がいます。
ちゃんと累代されたものを、店頭で単に混ぜて展示販売しているので、いわゆるMIXではないことをご説明しています。
何が言いたいかと申し上げると、私も全品種を作出した繁殖から直接仕入れることが不可能なので、作出元⇒仲間の愛好家⇒私のような仕入を取ることが殆どです。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、作出元⇒愛好家⇒私の中で何代累代がされているでしょうか?
当店で購入されたメダカファンの方が何代累代するのでしょうか?
そしてその個体が配られたり、オークションで販売されたり。
そこには正しい選別累代がされるはずもなく、弱い個体が増えてしまうのも当然だと思います。
こういった人気がゆえに起こるメダカの流れが、メダカを弱くしている一因のように感じています。
ですから、私は可能な限り累代をせず、ラメが多いものを集めたりなど異種交配を中心に繁殖を行っています。
ロングフィンタイプの血統の弱さ
私もロングフィンタイプのメダカが好きで、ヒレがしっかり伸びるように、室内で28℃以上の加温をして飼育をしています。
そこでも油断をしているとあっという間にメダカのヒレは溶けて水カビなどを併発しまします。
グッピーはメダカより数段大きなヒレですが、購入時の移動の疲れからか弱っている場合を除けば、殆どヒレの病気で悩むことはないです。
やっぱり最近のメダカって弱いと感じる瞬間です。
塩浴・薬浴をしても回復しにくい
先程から比較対象にグッピーを例示していますが、それくらいグッピーは強いです。
今までで特に凄さを感じたのが、グッピーがヒレぐされを起こして更に私の発見が遅かったこともあり、1.5㎝ほどあった尾びれが残り5㎜くらいまで溶けて、泳ぐこともままならなくなったことがありました。
でも、そこからでもグッピーは薬浴だけで復活しました。
逆にメダカは、薬浴をしても回復せず死んでしまうか、回復しても以前のように元気には戻りにくいと実感しています。
念のために、これらは私個人の実感ですので、そんなことはないと思われる方もいらっしゃると思います。ご参考程度にお読みください。
屋外飼育で比較はできないが
基本的にメダカ以外の魚を屋外飼育することがないので比較はできません。
メダカは室内より屋外での飼育が圧倒的に簡単で、水質の維持がしっかりできていると殆ど死ぬことはありません。
夏場で急に水温が上がった時などに、アンモニア中毒を起こさなければ大量死のような大事件も起こりにくいと思います。
ここからは、妄想に近いお話ですが、大分の由布院などでグッピーの自然繁殖が問題になっていますが、〇〇川で幹之が大量に繁殖して大騒ぎみたいな事件を聞いたことがないんですよね。
メダカ愛好家のマナーがいいから放流事故がないんだと言われればそこまでですが、梅雨の雨でメダカが流されたみたいな事件も聞く話なので、やはり自然界での改良メダカの繁殖は難し=メダカが弱くなっているのでは?と感じる理由になっています。
弱くても私はメダカが大好き
ここまでグッピーを中心に比較して、改良メダカが弱くなってきているとお話してきました。
これはメダカを悪く言いたいのではなく、従来のメダカは強くて飼育しやすいという思い込みを一回リセットして、慎重に命と向き合う切っ掛けにしていただければと思っているからです。
私はベタともグッピーとも違う改良メダカのラメや体外光の輝き、落ち着きのある色合い、多くの美点でメダカは素晴らしいと思っています。
みなさまもメダカの飼育を楽しんでくださいね。