
みなさまは、外飼いのメダカ水槽やビオトープで雨対策をしていますか?

メダカ愛好家の方は、波板などでメダカの水槽に蓋をして、雨対策をしていることが多いようです。

なぜ、自然に生きているメダカを、そこまで過保護にする必要があるのでしょうか?

自然に雨の中で生活している生き物なのに、雨ざらしでは何が悪いのでしょうか?

実は雨には意外なワナがたくさんあるんです。

今回は、軽視されがちな雨対策の重要について解説をさせていただきます。
みなさまは、メダカの水槽やビオトープに何か雨対策はしていますか?
割と雨対策をせずに、自然に任せて放置の方も多いのではないでしょうか?
私も、メダカ飼育初心者の頃は「川に住む魚が、雨に負けるはずはないじゃん?」って、雨を軽視していました。
だって、天然のメダカは雨除けをしなくても元気に生きてますよね?

どうして、メダカに雨除けが必要なの?
実は、メダカの水槽にたくさんの雨が降り込むと、メダカにとって様々な害があるんです。
今回は、メダカ飼育における雨対策の重要性を、解説させていただきます。


雨対策の定番と言えば波板ですよね!

波板は、軽くて雨を通さないのに、空気や風は通してくれるので、ビオトープの屋根に最適なんです。

天気予報で大雨の予報が出たら、雨の前に蓋をしてあげるようにしてください。


私がメダカの飼育を始めたばかりの頃は、こんな風に”すだれ”で屋根をして雨対策をしていました。

隙間だらけの”すだれ”ですが、意外に雨を避ける効果はあったようです。

雨の害はビオトープが溢れてメダカが流されるだけではない

梅雨時期など、年に何度かメダカの屋外水槽の水が、全部入れ換わるくらいの大雨が降りますよね。
そんな時に、雨対策をしていないと、メダカが流されて大変なことになります!
でも大雨の害は、メダカが流されてしまうことだけではないんです。
大雨が降った時、飼育水槽の中では大きな変化が起きているんです。

大雨で、外飼いのメダカ水槽が溢れてしまう「オーバーフロー」の対策は、以下の記事をご覧ください。

参考に、こちらが記事で紹介している、私が手作りしたオーバーフロー加工後の水槽です。

雨が降り込むと急激な水温低下が起きる


雨はとても寒い、遥か上空から降ってきます。
平均的な雨水の水温は5℃以下とも言われており、年間を通してメダカの飼育水槽より冷たい水なんです。
そんな冷たい雨水が、水温が20℃~30℃前後のメダカ水槽に、大量に降り込んだらどうなるでしょうか?
一気に水温が下がってしまい、メダカが風邪をひいてもおかしくないですよね?
大量の雨が、外飼いの水槽やビオトープに降り込むと、急激にメダカの飼育水の水温が低下します。
メダカにとって水温の1℃変化は、人間にとって気温の5℃変化に相当すると言われています。
ですから、メダカの水槽に大量に雨が流れ込むと、メダカがどれだけ寒い思いをするのか想像してみてください。
急激に体を冷やされたメダカたちは、人間が風邪をひくのと同じように、寒さで体調を崩して弱っていきます。
急激な水温低下によってメダカの消化不良の危険性が高まる
ビオトープの水温が急激に低下すると、メダカの内臓の消化機能が低下し、消化不良を起こしやすくなります。
そのような危険なタイミングでメダカに餌を与えると、メダカが消化をできすに。内蔵に餌が詰まって死んでしまうリスクが高くなります。
ですから、急に大雨が降った時などは、無理にメダカに餌を与えないようにしてください。
ただし、梅雨など長期雨が続いたり、産卵中で栄養を取らせてあげたいときなど例外もあります。

雨の日の餌の与え方については、こちらの記事で解説しています。
メダカの水温管理の重要性

水温変化によるダメージを防ぐためには、雨除け対策も重要ですが、日々変化する水温の管理も大切な対策です。

ビオトープや外飼いの飼育水槽では、このような浮かせるタイプの水温計を浮かべておくと、水温の確認が容易になり安心です!

酸性雨の降り込みによる極端なph変化のリスク


みなさまは、酸性雨って聞いたことがありますか?
雨の成分、は固い大理石を溶かすくらい強い酸性なんです。
こんなに強い酸性を示す液体(雨)が、大量に水槽やビオトープに流れ込んだら、メダカたちが受けるダメージも計り知れないですよね。
雨の降り込みがメダカの健康に良いはずがありません。
水や、土壌の成分を表す指標に、ph(ペーハー・ピーエッチ)があります。

学校の理科の授業で、ご記憶がある方も多いと思います。
ph測定では、水素イオンの濃度を測定しその結果から、成分を酸性・アルカリ性・中性という呼び名で表現します。
メダカは弱酸性~中性~弱アルカリ性と幅広く適応できる魚なので、基本的に中性の水道水がベースであれば、問題なく生活できます。
しかし、雨をphで表わすと5.6程度の酸性(メダカ飼育は6.5~7.5くらいのphが望ましい)になので、大量に雨が水槽に流れ込むと、メダカにとってとても住みにくい環境に変化してしまいます。

徐々にphが酸性に傾く程度であれば、メダカも環境変化に対応ができます。
しかし、水槽の中に大量の雨が降り込み、急速にphが弱酸性に変化すると、メダカは極端なph変化の負担に耐えられず弱ってしまい、最終的に病気への抵抗力を失って死んでしまう場合もあります。
phショックが軽い症状であれば、水換えをしてphを整えてあげるだけでも、回復ができる可能性があります。
しかし、メダカに急激なph変化を与えてしまうと、私たちが想像するよりもその影響は大きくて、場合によっては回復できないほどの致命傷を負っている可能性があるので注意が必要です。
ph変化の確認方法について

phは、このような検査薬で確認ができます。

雨の降り込みだけでなく、水の汚れなど時間の経過でもphは変化します。

そのため、定期的にphを確認することで、メダカのph変化から受けるダメージを、未然に予防してあげてください。


phや水温変化のショック症状については、以下の記事をご参照ください。
「牡蠣殻(かきがら)」を使ったph調整方法

ここからは、確認したphの値をもとに、適切なphへ調整する方法をご紹介します。


牡蠣殻を水槽に入れておくだけで、phが酸性になると牡蠣殻が酸に溶かされて、殻の主成分の炭酸カルシウムが、水を弱アルカリ性に戻します。
梅雨など長雨の影響で、事前にph変化が予想される時期は、あらかじめ水槽に牡蠣殻を入れておいて、phを弱アルカリ性に維持することも、雨が続く時期の飼育テクニックです。
私も、梅雨~夏の時期は、phを弱アルカリ性に保つようにしています。

グリーンウォーターもphは弱アルカリ性なので、暑い時期は弱アルカリ性に調整する方がph変化が少ないと思います。


植物プランクトンが死んで沈殿することによる水質悪化のリスクと対策


グリーンウォーターの中の植物プランクトンが、ph変化で死んでしまうことも雨の問題点です。
見落としがちな事ですが、グリーンウォーターの主成分の植物プランクトンも、極端なph変化に弱いんです。
ですから、大量の雨がメダカ水槽に降り込むと、グリーンウォーターが流れて薄まるだけでなく、水の中の植物プランクトンがph変化に耐えられずに死んでしまう危険があります。
植物プランクトンが死んでしまうと、その死骸(緑色の沈殿物)が水槽の底に貯まります。
加えて、雨で水槽の水が溢れると、濾過に必要な”バクテリア”も流れ出して減少するので、プランクトンの死骸と濾過不足が重なって、急速に水が汚れていきます。
雨が止んで数日後に水槽の底に緑色の堆積物が溜まることがあります。
これが植物プランクトンの死骸なので、もし見かけたら急いで水槽から吸い出して、掃除をしてあげてください。
植物プランクトンの死骸を放置すると、水槽の中で徐々に腐り始め、有害なアンモニアが増えていきます。
そのため梅雨の時期は、アンモニアが増加しやすく、メダカが一匹ずつ死んでいくポツポツ死が起きやすくなります。

メダカが一匹ずつ死んでいく「ポツポツ死」については、以下の記事をご参照ください。

この記事では、ポツポツ死の理由と、水換えの方法を特集しています。
最後に

ここまで書いてきましたが、

①飼育水槽への大量の雨の降り込みは厳禁

②もしメダカの水槽に雨が降り込んだら、急いで水換えをする。

この2点が大切です。
私も、飼育初心者の頃は、雨をすごく軽視していました。
そして、梅雨にメダカが死んでしまうことで悩み、その原因を日が当たらないことの責任にしていました。
でも、梅雨にメダカが一匹ずつ死んでしまう経験と対策を繰り返す中で、雨除けの重要性を考えるようになり、飼育場に屋根が完成したらポツポツ死が止まったことで、雨の降り込みがメダカが死んでしまう原因と確信しました。
ですから、雨を軽視してはダメですよ!
この記事が、みなさまのお役に立てると嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

私は雨対策のために、雨除け屋根を作りました。

それくらい雨対策は重要です。

