今では定番の「楊貴妃メダカ」ですが、せっかく育てるなら綺麗に赤(朱赤)く育てたいですよね。
みなさまご存じのように、メダカは保護色の機能を持っているので、飼育水槽の色次第で体色が変化します。
また赤い体色も、体外光やラメのように、買い方や選別・交配方法で大きく結果が変化します。
今回は知っているようで知らない、楊貴妃メダカに代表される「赤色」の色を揚げる飼い方について解説いさせていただきます。
楊貴妃メダカに限らず、メダカは保護色(体の色を変えて身を隠す能力)の機能を持っていて、水槽の色や飼育環境によって体色が大きく変化することをご存じでしょうか?
具体的にいうと、メダカは暗い色の水槽の中では体の色をより濃くし、明るい水槽の中では体の色をより薄くします。
メダカは、この保護色の機能の活用や、最適な選別と交配、また餌の選択など育て方の工夫次第で、体の色を鮮やかにすることができます。
そして、このような工夫でメダカをより美しく仕上げることを、色揚げ(いろあげ)と言います。
今回は、メダカ初心者の方向けに、楊貴妃メダカに代表される赤色(朱赤)の色揚げ方法を解説させていただきます 。
なぜ楊貴妃メダカの赤色を朱赤(しゅあか)と呼ぶのですか?
雑学ですが、メダカは赤色の元となる赤色素胞を持ちません。
実は、楊貴妃メダカに代表される体の赤色は、厳密にいうと濃い黄色なんです。
そこで、メダカの赤い色を、赤色素胞由来の”赤”と区別するために、メダカの赤色については”朱赤”と呼び区別しています。
メダカの赤い色を濃くする飼い方について
「赤」の色揚げ方法は以下の通りです。
・黒い容器(水槽)を使って飼育する
・飼育水にグリーンウォーターを使う
・屋外で育てた方が紫外線で日焼けして色が綺麗になる(と言われている)
・産卵期は発情色で赤みが増す(と言われている)
・水質が悪くなると色がさめる
・色揚げ効果のある餌を使うと赤色が綺麗になる
・赤い色が濃いメダカを種親に使って選別・交配をすると、より赤が綺麗な子孫が生まれやすい
赤いメダカの飼育に黒い水槽を使うと色が綺麗になる
楊貴妃メダカに限らず、改良メダカに共通する色揚げ方法が、黒い水槽での飼育です。
メダカは、周りの景色に合わせて体の色を変化させ、目立たなくなることで身を守る、保護色(ほごしょく)という機能を持っています。
そのため、メダカは白い水槽で飼うとより薄く、黒い水槽ではより濃く、体の色を変化させます。
特に、黒い色は水槽の色の影響が大きいので、保護色による変化の濃淡が確認しやすいと思います。
上の写真で、これからご紹介する飼育水槽の大きさがイメージできると思います。
これも雑学ですが、白い水槽で飼育しても、真っ黒な体の色を維持できるのが、「オロチ」メダカの魅力です。
「オロチ」メダカの登場で、黒いメダカが楽しめない問題が解結されたことは記憶に新しい出来事です。
※黒い水槽で黒いメダカを飼っても、まったく見えないですもんね。
グリーンウォーターで飼うとメダカが綺麗になる
グリーンウォーター(青水)とは、屋外で植物プランクトンが発生し、緑色に変化した水の事を言います。
グリーンウォーターで飼育すると、メダカは植物プランクトンを食べて元気に育ちます。
また、グリーンウォーターは水温が上昇しやすいので、高水温による色揚げ効果も期待できます。
そのほか、飼育水がグリーンウォーターに変化すると、phが7~8の弱アルカリ性に変わるため、弱アルカリ性を好むメダカにとって住み心地が良いので、色が綺麗になるとも言われています。
ただし、グリーンウォーターは水の透明度が下がるので観察に不向きで、水底に沈んだ餌や死体、ヤゴなどの捕食者を見落としがちになります。
また、あまりにも緑色が濃くなると、増え過ぎた植物プランクトンが酸素を消費してしまうので、メダカが酸欠を起こすリスクが高くなります。
飼育にあたってご注意ください。
グリーンウォーターが濃くなって水底が見えなくなったら、底が見えるまで水換えをして、緑色を薄めるようにしてください。
※植物は日光と二酸化炭素を使って光合成をおこないますが、反対に日が沈むと酸素を消費しはじめます。
そのため、濃すぎるグリーンウォーターや、水草が多すぎる環境には、酸欠のリスクが伴います。
簡単にグリーンウォーターが作れるイージーグリーンの紹介
イージーグリーンは、グリーンウォーターを作りやすくするために開発された、植物プランクトンの栄養剤のようなものです。
グリーンウォーターの代わりとして、餌にスピルリナやクロレラを使う方法があります。
メダカにとってスピルリナは、とても消化によく栄養満点な餌で、市販の餌にスピルリナの粉末を混ぜたり、水槽に直接タブレットを入れると、つつきながら食べてくれます。
ただし、食べ残されたタブレットは水を汚すので、ある程度食べ終わったら水槽から取り出してください。
下の写真は、キョーリンの「メダカの舞ネクスト」の成分表ですが、市販の餌でも高価格帯の餌にはスピルリナが含まれているケースがあります。
楊貴妃メダカが紫外線に当たると日焼けして色が綺麗になる
日陰と日なたで分けて育てるなどの比較検証はできていませんが、夏場によく太陽に当たると、日焼けして赤色が綺麗になると言われています。
赤色のメダカは産卵期に発情すると赤が濃くなる
こちらもよく言われていますが、比較検証はできていません。
写真を撮って比較したことはないのですが、言われてみたらそうかなって印象です。
赤色を綺麗にする工夫だけでなく、選別・交配を進めるために、頑張って卵を増やして採卵しましょう!
飼育水の水質が悪くなると赤い体色が薄くなる
これはメダカだけでなく、アクアリウムの生き物全般に言えることです。
魚が水の汚れで弱ると、みるみる体の色が褪せていきます。
急に魚の色が白くなり始めたら、かなり飼育水が汚れている可能性がありますので、水換えを行ってください。
人間だって体調が悪いと顔色が悪くなりますよね。
より赤くするために色揚げ効果のある餌を使う
色揚げの効果がある餌は、なにも特別なものではなく、一般のホームセンターなどでも購入できます。
「オキアミール」など「カロテノイド」と呼ばれる色素を含む成分が入っていれば色揚げ効果のある餌です。
難しいことはなくて商品名に色揚げ用と書いているので、成分を見なくても分かります。
メダカに色揚げ用の餌を与えると、数日で赤みが増し色揚がりを楽しめます。
※体色が赤くなるとヒレが黄色に色付く場合があります。
それが嫌な場合は、餌の量を加減してください。
ブリーダーさんや販売業者の世界では、色揚げ用の餌を使って赤色を綺麗にみせても、お客さまの育て方次第で色が褪せてしまうので、餌で綺麗に見せかけるのは不誠実なやり方だと言われています。
ですが個人的には、販売をしない愛好家の方が色揚げ用の餌を使うのは、飼育の楽しみが増えるのでおすすめです。
また、色揚げ用の餌を使用すると、本来の色味が曖昧になってしまい、種親の選別に支障をきたすことも、ブリーダーさんが、色揚げ用の餌を好まない理由です。
こちらについても、選別・交配で、よりメダカの赤色を濃くしたいという目的がない方でしたら、特に気にする必要はありません。
私は選別・交配でメダカの赤を濃くしたいとい考えでなければ、メダカが綺麗に赤くなるので、色揚げ用の餌の使用をおすすめします。
なにより、普通の餌にも少なからず色揚げ成分(カロテノイド)は含まれているので、気にしすぎる必要はないと思います。
以下の稚魚餌「メダカの舞ネクスト」の成分表を見ても、普通にカロテノイドを含む「オキアミール」が入っています。
先程、ご紹介した「スピルリナ」や「生クロレラ」も、色揚げ効果がある餌に含まれます。
なので、まったく色揚げ効果がない餌を探すのも難しいですし、オキアミールやスピルリナは色揚げ意外でも成長に欠かせない栄養素でもあるので、嫌わない方が良いと思います。
より赤色が濃い種親から卵を採卵し選別・交配をする
ここからは、中級者からブリーダーレベルでの話です。
選別・交配で血筋の赤さを高めていきたい方は、ゆっくりご覧ください。
楊貴妃メダカは、メダカの中でも特に固定率が高いので、100%に近い確率で親と同じ特徴をもつ子どもが産まれます。
でもよく見ると、そっくりな兄弟でも、わずかに「赤色」に差があることに気が付くと思います。
そこで、より赤色が強いメダカを種親にして、選別・交配を進めていくことで、血筋としての「赤色」を高めていくことができます。
具体的には、透明や白い水槽にメダカを移して色を薄くさせてから、薄い中でもより赤が濃いメダカを選別して種親に選びます。
注意点は、選別のためであっても、楊貴妃メダカを白い水槽に30分以上入れてしまうと、薄くなった赤色が戻らない(戻りにくい)と言われているので、選別には気を付けてください。
メダカの選別には、このような白黒を使いわけれる選別水槽があると便利です。
品種改良については以下の記事をご覧ください。
最後に
私も初心者の頃は育てるだけで精いっぱいで、あまり気にしていませんでしたが、せっかくメダカを飼うのなら、できるだけ綺麗に育てたいですよね。
この記事の中でもご説明してきましたが、メダカは飼い方次第で色・柄の仕上りに差が出ます。
そこで今回は、楊貴妃メダカに代表される「赤色」のメダカを、より綺麗に育てる飼い方にフォーカスして説明させていただきました。
メダカを綺麗に育てる飼育方法は、水槽の色など簡単なことから選別・交配まで様々ですが、みなさまが無理なくできることから始めてみてはいかがでしょうか?
私も、もっともっと研究して、綺麗なメダカを生みだしていきたいと思っています。
この記事が、みなさまのお役に立てると嬉しいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。