みなさま、5月末までは調子が良かったメダカ達が、梅雨時期になると産卵が急に止まり、痩せてポツポツ死んでしまう印象がありませんか?
私も、まだメダカの初心者の頃に、何年も梅雨にメダカが死んでしまう現象に悩まされてきました。
今でも通常の季節より、梅雨時期の方が死んでしまう個体が多いです。
今回は、なぜ梅雨時期にはメダカが弱りやすいのかと、その対策について解説させていただきます。
波板を活用した簡単な雨よけ対策
先ず最初に、雨対策は事前に波板を置くのが一番です!
波板を使用すると、雨が防げて通気性も確保できるので安心です。
ただ、簡単な反面、毎日天気予報で雨を確認する必要があるので、大変ですよね。
梅雨時期になるとメダカが弱ってしまう原因
どうして梅雨時期にはメダカが弱ってしまうのでしょうか?
様々なご意見があると思いますが、私なりの梅雨のデメリットを書かせていただきます。
梅雨と雨が危険な理由
1.メダカの健康な生育には、太陽光がとても重要であり、日照が悪くなるとビタミンDの生成が滞り身体が弱くなりがちだから。
2.紫外線による天然の殺菌効果が弱まり、水中に水カビなどの雑菌が繁殖しやすい状況になるから。
また、病原菌のカラムナリスもエロモナスは弱酸性~中性を好みます。
太陽光が弱くなりグリーンウォーターになりづらくなると、水質が中性以下になりやすくなるので、病原菌の活性が上がりやすいかもしれません。
エロモナスやカラムナリスが活発化すると、尾ぐされ病などだけでなく、痩せ細り病が出やすくなる説があります。
3.平均水温が5℃前後の雨水が、大量にメダカの水槽に降り込むと、水温が一気に下がってしまい、メダカが水温ショックを受けて体調を崩し弱ってしまう。
また、弱ると病気に感染しやすくなる。
4.雨水は酸性雨と呼ばれるほど酸性度(ph5.5前後)が強く、中性や弱アルカリ性の水槽に、大量の雨水が流入すると、飼育水のph(ペーハー・ピーエッチ)が一気に弱酸性に変化し、メダカが水質ショックを受けて弱ってしまう。
5.大量に雨が降り込み、水槽がオーバーフロー(水槽が溢れること)を起こすと、ろ過バクテリアや餌となっていた微生物が流出し、水槽内のろ過と食物連鎖のバランスが崩壊する。
6.雨が降り込むとグリーンウォーターに含まれる植物プランクトンが水質ショックで死滅し、その死骸が水槽の底に沈殿すると、水底で腐って水質を急激に悪化させてしまう。
大きく分けると上記のような理由が挙げられます。
【調子が落ちる原因1】メダカの日照不足
メダカの産卵には安定して1日10時間程度の日照が必要と言われています。
メダカは他の魚に比べて一日の殆どを水面付近で過ごします。
水面に落ちてきた生き物を食べる食性もありますが、基本的にメダカは太陽が好きで日照が減るとビタミンDの生成に支障をきたし、元気がなくなりやすいと言われています。
【調子が落ちる原因2】飼育容器への紫外線の殺菌効果減少
私の経験では、梅雨の時期には確かに水カビ病や、尾ぐされ病などがまん延することが多く感じます。
また、同様に痩せ細り病も発生しやすい印象です。
日照不足の影響で紫外線の殺菌効果がおち、phが中性以下になるため、病気の原因となる常在菌(エロモナスやカラムナリス)が活性化しているのではないかと思われます。
日が射さない室内飼育でも、同様に病気がまん延しやすいことからも、紫外線による殺菌効果の重要性は高いように感じます。
【調子が落ちる原因3】飼育容器への雨水の降り込みによる急激な水温低下とダメージ
メダカに限らず、アクアリウムの生物が水温変化に弱いのは有名です。
一説にはメダカにとって水温1℃の変化は、私達人間で言えば気温5℃の変化に相当するそうです。
また、雨の水温も平均で5℃程度だそうです。
ですから、水温20℃の水槽に5℃の雨が降り込むと、メダカにとっては気温換算で75℃も体感温度が変化しているのかもしれないですね。
ですから、温度差によるショックでメダカが弱ってしまうのは当然の事なんです。
梅雨時期など環境変化の幅が大きい時ほど、水温の管理は大切ですよ。
屋外飼育では、こういった浮かべる水温計を使って、常に水温に気を配ってください。
【調子が落ちる原因4】飼育容器のphと酸性雨との水質差によるphショックによるダメージ
これは先輩ブリーダーから伺った話です。
その方は井戸水汲み上げてメダカの飼育水に使用しているのですが、梅雨時期で雨が降り込んでも殆どメダカが弱ることはないそうです。
理由は井戸水と雨水の成分が似ているから、雨が降り込んでもショックがないのではというご意見でした。
そう言われれば、確かにそうだなと納得がいくお話ですよね。
その他、飼育水槽に水質をアルカリ性に変化させる効果がある牡蠣殻を入れておけば、少々の雨ではメダカが調子を落とし難くなります。
牡蠣殻を使うと、酸性雨で水質が酸性に変化する一方で、酸で牡蠣殻が侵され、牡蠣殻の石灰成分が溶け出し、結果水質が中性から弱アルカリ性に保たれます。
※弱アルカリ性の水質はアンモニアの毒性が上がりやすいので、過剰な牡蠣殻の使用は逆にリスクになる場合もあります。ご注意ください。
このような試薬で、簡単にphは確認ができます。
【調子が落ちる原因5】大切なろ過バクテリアや餌になる微生物が流れ出してしまう
飼育水槽の水は、長期間メダカの飼育をすることでろ過バクテリアが繁殖し、有害物質がろ過バクテリアに分解されることで、汚れにくい水へと進化して行きます。
アクアリウムの世界では、そのろ過バクテリアが増加した状態を、水槽が立ち上がるなどと表現します。
しかし、せっかく立ち上がった水槽も、大量に雨水が流入すれば、順調に増殖していたろ過バクテリアが水槽の外へ流れ出てしまい、水換えをしたばかりのような無機質で汚れやすい水へ戻ってしまいます。
その為、バクテリアが十分に湧いた飼育水のイメージで水換えを行っていると、予想外に飼育水の汚染が進みメダカが弱ってしまう原因になります。
雨が上がったら、雨でバクテリアが流れて、アンモニアが増えていないかを確認することをおススメします。
アンモニアは、バクテリアが不足すると、たった1日でもグンと増えるので危険です。
雨が降り込んでバクテリアが流れ出した可能性がある時には、念のためろ過バクテリアを添加すると安心です。
【調子が落ちる原因6】グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンの死滅による水質悪化
晴れた日がなくなり日照不足続いたり、大量の雨の降り込みが続くと、グリーンウォータの成分である植物プランクトンが流出したり死滅します。
大量の植物プランクトンが死滅し水底に死骸が堆積すると、植物プランクトンと言えども水底で腐敗が始まり水を汚す原因になります。
水底で緑色のフワフワとした堆積物を見かけた場合は、植物プランクトンの死骸である場合が考えられるので、早めのに掃除することをおすすめいたします。
グリーンウォーターは、このような液体です。
暖かい時期に屋外に水を放置した際、自然に緑色に変色した水のことを言います。
沈殿物の掃除は、プロホースで水ごと一気に汚れを吸い出すと簡単です。
梅雨を乗り切るには徹底した雨対策が重要
梅雨対策には徹底した雨対策が必須です。
多くのブリーダーさんも、ハウスや屋根、波板、すだれなどを使用して、徹底した雨対策をしてるんですよ!
100円均一グッズを使った簡単な手作り(DIY)屋根での雨対策
最初にも書きましたが、何もない場合は波板が一番簡単で確実な雨除けの方法です。
ですが、波板を使用する場合は波板の保管場所も必要ですし、常に天気予報との睨めっこですよね。
だから、私はお店が小さくて予算がなかったころ、Daisoグッズを買いあさって、下の写真ような小さなテントを作って雨の侵入を防いでいました。
材料はDaisoさんのオーニングや、オーニング用の金具、すだれなどを活用させていただきました。
お陰さまで、今はこんなに大きな屋根を作って雨を完全に防いでいます。
夏の暑さ対策もお忘れなく!!
最後に
梅雨の時期にメダカが落ちやすいのは事実だと思います。
そしてその事実を受け止めたところで、どのような対策をとってメダカ達を守っていくかが課題になると思います。
落ち込むだけなら簡単ですが、ここは負けずにグッと踏ん張りたいですね。
この記事の内容がみなさまのお役に立てると幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。