
メダカや金魚を飼育していて、「きちんとバクテリアが増えると水が綺麗になるんだよ」って言われた経験はありませんか?
たくさん水を換えると、バクテリアを捨てることと同じで勿体ないって言われたり、逆に水を換えないとダメって言われてパニックになったことはありませんか?
私も、最初はどっちを信じていいのか悩んで、水替えを思い切れないうちにメダカがポツポツと死に出して悲しい思いをした経験が沢山あります。
今回は、結局水換えはすべき?すべきじゃない?の疑問にお答えしていきたいと思います。

既にポツポツ死が発生して慌てている方は先にこちらをご覧ください。
メダカや金魚を飼育されていて、「水替えばかりしていたらバクテリアが増えないよ」と助言されて、水替えの頻度やタイミングで悩んだ経験はありませんか?
私は今まで本当にこの疑問に振り回されてきました。

本気で怖くて水が換えれなくなった時期もあります。
メダカの水替え・水質維持については、メダカの販売店をさせていただいている今でも研究と実践と失敗の繰り返しです。
それでも、お店を開けて5年。一つの答えは出てきているかな?そんな感じです。
私も最初の頃は、ポツポツ死が止まらずパニックになって眠れない日々を過ごしたこともあります。
特にメダカ飼育を始めたばかりの初心者さんにとって、ネット上に氾濫する水換えやろ過に関する記事は様々で、どれが正解?って悩まれることが多いのではないでしょうか?
今回は私(アクアショップめだか屋SUN)流のメダカの水換えについて、できるだけ簡単に解説をさせていただきます。
【STEP1】メダカはホントに強くて育てやすいの?
結論から申し上げると、強い魚に含まれるとは思います。
ただ、これは相対的な表現であって、他の淡水魚に比べての”強い”です。
ですから、ある程度の基本的な育て方を知ってる・知らないで結果は大きく異なると思いますし、簡単に死んでしまうこともあります。
メダカは強いからこそ、汚水で致命傷を受けるまで頑張っちゃうんですよ。
そこがポツポツ死の原因だったりすることもありますし、その場合は全滅を待つのみの時もあります。
メダカも大切な命ですから、飼育方法の基本をご理解いただき、早期発見で大切に可愛がっていただけると嬉しいです。
【STEP2】メダカ飼育で一番大切なことは?
メダカに限らず、魚を育てる際に一番大切なことは水の管理です。
魚とっての水は、人間にとっての空気と同じ。
汚れていては命に係わるのも当然とご理解ください。
加えて、メダカも突然水が冷えれば風邪(と言ってよいかは微妙ですが)もひくし、具合も悪くなります。
風邪をひけば、もっと大きな病気の切っ掛けにもなります。
それだけ、水は病気や命に密接した関係があり、水の管理こそが飼育で一番重要なポイントになります。
【STEP3】水の汚れはどうやって判断しますか?

今日元気に泳いでいるからと言って、明日も元気とは限りません。
大切なことは、メダカがダメージを受ける前に、目に見えないアンモニアに気付いて、早めに水替えをすることです。
見えないアンモニアに立ち向かうために、初心者に限らず定期的に試薬を使ってアンモニア検査をすることをおススメします。


これはうちの5匹飼育のNVボックス#13の2日目と3日目のアンモニアです。
餌をたくさんあげてるのもありますが、数日でこんなに水は汚れるものと言う認識を持っていただくと、水換えの感覚も変わられるのではないでしょうか?
もし、飼育水から少しでもアンモニアが検出されたら即水替えが必要です。
日常観察での判断の目安は、メダカが素早く常に泳ぎ回っていて、泳ぎが止まることがない状態が健康の証です。
底に潜ってばかりだったり、泳ぎが遅かったり、泳ぎが止まる瞬間が多い場合は水質が悪化していますので、すぐに換水が必要です。

元気に餌を食べているからと言って油断しないでください。
基本は、普段の泳ぎ方が素早いかです。
とにかく、元気なメダカは休みなく水面を泳ぐ生き物です。
写真は検査キットでアンモニアが検出された状態で、動画は元気なメダカのイメージです。
動画のようにすいすい泳ぎ回らなくなったら水替えが必要なサインです。

【STEP4】水換えはあまりしないほうがいいって聞いたけど?

真実でもあり、もっとも誤解してはいけない重要なポイントです。
以下が一般的な水換えをしない、またはしなくても良い理由です。
① ろ過バクテリアが増えれば、バクテリアの力で自然に水が浄化されるので水換えは少なくて良い。
逆に、水換えをしていては、ろ過バクテリアを捨ててしまうことになり勿体ない。
②メダカは水換えのショックに敏感だから、あまり水を変えないほうが良い。
③水の中に植物プランクトンなど天然の餌が増えるので、新しくしては勿体ない
これは事実ですが、以下の知識と条件が必要です。
ここを誤解すると、水質悪化でメダカを死なせてしまうので、ご注意が必要です。
【STEP5】水質悪化とろ過バクテリアについてもっと知ろう
飼育水が汚れる要素は大きく以下の3点です。
①メダカのフンなどの排泄物
②食べ残した餌
③プランクトンなど微生物、メダカなどの死骸の放置
飼育水中には以下に分類されるろ過バクテリアがいます
A 有機物分解菌
B 硝化菌
Aの有機物分解菌群はろ材に住んでいます。
そして①~③の水質を悪化させる有機物をアンモニアに分解していきます。
ただ、このアンモニアがメダカにとってとても有害な物質になります。
Bの硝化菌は水中に浮遊していて、基本的にろ材に定着しません。
硝化菌群は上記のアンモニア(強毒)を亜硝酸(中毒)に分解し、更に亜硝酸を硝酸塩(ほぼ無毒)に分解して水質を浄化していきます。

大切なことは、新しい水にろ過バクテリアがいないこと、そしてろ過バクテリアが増えるまでに最低1カ月以上時間がかかることを理解することです。
【参考】
・有機物分解菌は1~2週間で増えてきます。
・十分に硝化菌が増えるには1カ月以上の時間が必要です。
新しい水で飼育し始めて1~2週間が経過すると、徐々に有機物分解菌が増え、メダカのフンなどをアンモニアに分解し始めます。
しかし、水替え2週間では硝化菌が増えていないので、アンモニアが分解されず水槽に蓄積していきます。
その結果、メダカがアンモニア中毒で死んでしまいます。
メダカを飼って1~2週間でポツポツ死にだした経験をお持ちでしたら、ほぼ硝化菌の不足が原因です。

硝化菌は1日でたった2%くらいしか増殖しません!
硝化菌の難しさ
硝化菌の働きや特徴は説明しました。
問題点は硝化菌が水中にしか存在できないことです。
そのため、硝化菌を増やそうと思っても以下の悪循環で思うように硝化菌を増やすことができません。
硝化菌が少ないのでアンモニアが増える⇒水替えをしてアンモニアを排出する⇒一緒にせっかく増えた硝化菌も捨てる結果になる⇒硝化菌が不足でアンモニアが分解されずに増えてしまう。
この悪循環に捕まると、日々死んでいくメダカを見送りながら苦悩する日々に陥ります。
硝化菌を確実に増やす方法は?
1. 水を張った容器をか1カ月程度放置して、硝化菌が増えるまでしっかり待つ。
2. 市販のバクテリア剤を使って硝化菌を補充する。【おすすめ】

ずっと魚を飼育していれば、検査で予想以上にアンモニアが出たり、なんだか魚の様子がすぐれない時など、一気に換水したくなるシチュエーションは多々あります。
そんな時に、バクテリア剤があるかないかで、水替え時の安心感がまるで違います。
ですから、販売店をしている今でも、バクテリア剤は欠かせません。
※バクテリアが増えるまで1カ月あれば大丈夫といっても、餌の食べ残しや糞などの有機物を供給できないとバクテリアは餓死してしまします。
そのため、通常は(パイロットフィッシュと呼びます)死んでしまっても許容できる(表現が難しいですが・・・)魚を1~2匹入れて糞などを供給する必要があります。

死んでもいい魚って嫌な感じがしませんか?
それも私がバクテリア剤を愛用する理由です。
【参考】バクテリア剤の選び方
硝化菌やアンモニア分解バクテリアなど、容器が別で明示されているのもをご購入下さい。
理由は、有機物分解菌は硝化菌を捕食・分解するため、同梱できないからです。
そのため、2種以上に分かれていないバクテリア剤は、バクテリアの栄養液だったり、有機物分解菌のみだったりします。
以下は展示用にバクテリアろ過を準備している水槽です。
仕上がりを速く確実にするために、市販のバクテリア剤を使用しています。
緑が硝化菌で赤が有機物分解菌です。



水槽を1カ月程度放置するとバクテリアは自然に増加すると言われていますし事実です。
でも、バクテリアは生き物で環境に左右されるので、水槽を放置したからといって必ず増えている保証はありません。
ですから、1ヶ月放置したからとメダカをいれたら1週間で全滅してパニックみたいな悲しい事故もあります。

だから、私は確実にバクテリアを導入できるバクテリア剤を使うようにしています。
私が、ジェックスのサイクルとベストバイオをお勧めしている理由は、私が効果を確認できているバクテリア剤の中でも、どこでも販売されている入手性の高さです。
【STEP6】バクテリア培養水槽
めだか屋SUNではこの容器に全体の糞を集めて、有機物分解菌と硝化菌を培養しています。
自然繁殖のバクテリアで維持する場合は、このような容器を作ってバクテリアを維持することをお勧めします。
ちなみに黄色い液体は、アンモニア検査薬で、ろ過バクテリアの効果でキチンとアンモニアが発生していないことを確認している様子です。
アンモニア検出試薬をお探しでしたら以下からご確認いただけます。


アンモニアの害については以下の記事をご参照ください。

アンモニアは目に見えなくて、匂いで判断することもできません。
大事なメダカを死なせないためにも、初心者の方ほどアンモニア検査の実施をおすすめします。
私のお客さまも、検査をするようになってからポツポツ死や全滅が減ってよかったと仰る方が多いです。
【STEP7】硝化菌の注意点
バクテリア全般ですが、バクテリアは飼育されている魚の糞などを分解してできるアンモニアを餌として生きています。
バクテリアは、一時的に必要以上に増殖しても、糞が少ないと餌不足で餓死します。
つまり、水槽の中には現在のメダカの飼育数に適した量の硝化菌しか存在できません。
ですから、バクテリアが増えていき一旦は水質が安定したからといって、一気にメダカの数を増やしてしまうと、硝化菌が不足しろ過のバランスが崩れ、アンモニアが増加しメダカが死んでしまいます。
メダカを増やす際は、バクテリアによる生物ろ過はバランスの産物とご注意ください。
【STEP8】水替えが大切なんです

ここまで、硝化菌を中心にろ過バクテリアの事を書いてきましたがいかがでしたか?
趣味で少数のメダカを飼育される場合は、早めに容器を準備して1ヶ月程度飼育水槽を放置すればバクテリアは増えていきます。
既にメダカを飼育している方でしたら、有機物分解菌が定着したろ材や、硝化菌が増えた飼育水を分けてあげることで、バクテリアが増える期間を短縮することもできます。
ですが、飼育数が増えてきて水槽がたくさんある方や、知り合いから突然メダカをいただいたりすると、1カ月容器を放置する時間も場所も確保できないことが殆どではありませんか?
また、よく見かけるアステージNVボックスなどでベアタンク(底砂を敷かない飼育方法)飼育をしている場合、ろ材(有機物分解菌の住処)がなく、水量(硝化菌群の住処)も少ないため、生物ろ過(バクテリアによるろ過)は補助的効果しか期待できません。
バクテリアによる生物ろ過が成功すると、飼育が飛躍的に楽になりますし、メダカの健康にも良いので、気持ちとしてはバクテリアろ過を目指したくなると思います。
ただ、バクテリアは目に見えません。
定期的に試験紙などを使ってアンモニアをチェックして、間接的にバクテリアを確認することはできます。
ただ、水槽が増えてくると、全ての水槽をアンモニア検査をすることは、時間的にもコスト的にも負担が大きくなります。
バクテリアの状態が経験でわかるとお考えの方もいらっしゃると思います。

私も最近まで経験だけで大丈夫、そう思っていました。
実際は完璧な判断など当然できるはずもなく、結果として判断を誤ってメダカを死なせてしまうことが多かったです。
だから、ポツポツ死に悩むくらいなら、判断を失敗して死ねせてしまうくらいなら、硝化菌など気にせず、しっかり水替えをするほうが良いと思いませんか?
だから、私は展示用に少数しか飼育しない水槽を除いて、繁殖用の一般飼育水槽は最低でも1日に1回、1/10換水をしています。
それでも調子が悪そうだったら、一気に換水するのではなく、新しい水槽に丁寧に水合わせをしながら引越しさせています。
そのほうがメダカに与えるショックが少ないからです。
【STEP9】水替えでメダカに与えるショックとは?
メダカは強い魚と呼ばれていますが、水替えによる水質(pH)の変化と水温の変化にはとても敏感です。
そのために、雑な水替えをすると簡単に病気になったり、最悪は死んでしまったりします。
水温ショックとは

水温1℃の変化は気温の5℃に匹敵すると言われています。
特に夏や冬の時期は、飼育水槽の水温と水道の水温は大きく異なっています。
小包で送られたきたばかりの、メダカの水も飼育水槽の温度と異なります。
同じ飼育場所でも日なたか日陰で水温は全く違います。
そのため、きちんと温度合わせをせず、いきなり水槽を引越しさせてしまうと、メダカは大きなダメージを受けてしまいます。
夏場の水温30℃近い飼育容器に、水温20℃の水道水をドボドボ注いだら、気温換算で▲5℃×5で実質▲25℃の温度変化を与えています。
メダカがダメージを受けて弱ってしまうのも納得ではありませんか?
水質(pH)ショックとは

pHとは酸性やアルカリ性を表す指標です。
水道水は蛇口から出てきた瞬間、水道管の腐食を防ぐために極弱いアルカリ性に調整されています。
しばらく、水槽に水を放置すると、だんだん水中に植物プランクトンが増えてきて、グリーンウォーターと言われる緑の水に変わってきます。
グリーンウォーターは弱アルカリ性~アルカリ性をしまします。
雨が降って飼育水に雨が入り込むと雨は酸性(酸性雨)なので水質を弱酸性に変化させます。
そのほか、水が汚れてくると酸性に変化しますし、赤玉土を底に敷くと水質は弱酸性に変化します。

同じ飼育場の水槽で見た目に同じように見えたとしても、細かくは各水槽でpHはバラバラなんです。
新しい水を注ぐときも、pHに気を遣う必要があるのは同じです。
ですから、水槽を移動する際や、水替えで注水する際は、時間をかけてじっくりメダカを慣れさせていかないと、メダカがpHショックで弱ってしまう原因になります。

いきなり網で掬って横の水槽にポイ!これだけは絶対にやめてくださいね。
水質ショックを防ぐために、穴をあけてホースを繋いだだけの構造ですが、こういった点滴容器で注水すると簡単で安心です。

【STEP10】ショックを与えない水替えの方法
水槽の移動
ボールや小さな水槽でメダカを新しい容器に浮かべて、30分程度放置してあげるだけで、水温が平均化され馴染みます。
同時にスポイトなどを使って新しい飼育水をボールに混ぜてあげると、ジワジワpHを馴染ませることができます。
画像が水合わせのイメージです。
このように浮かせながらスポイトで少しずつ、新しい水槽の水を入れてあげてください。

水替え
水を抜くときは一気に部いても大丈夫ですが、注水する際はできるだけ時間をかけて小分けに注水してください。
交換する水は、カルキ抜き後に飼育水槽の近くで汲み置きしておくと、自然と同じくらいの水温になります。
エアコンなどが直接当たる場所は温度が変化しますのでご注意ください。
全部を換えるのではなく、換水量を全体の1/10~1/3程度にとどめると安心だと思います。
全換水(水槽のリセット)
いくら換水しても、どうしてもメダカの調子が上がらないとき、私は薬浴の前に全換水を試します。
その際は、一気に水を換えるのではなく、新しい水槽を用意して水槽を移動する要領で水合わせをして全換水します。
新しい容器の準備が場所や資材の関係で難しい場合は、ボールなどにいったん掬って、その間に水を全換水して、引越しの要領で水合わせをして戻してあげてください。
ざぶざぶ水替えするよりはダメージが少ないと思います。
最後に
ここまで水替えの必要性についてご説明をさせていただきましたが、いかがだったでしょうか?
バクテリアをコントロールできるようになれば理想ですが、なかなか全ての飼育水槽を完璧に仕上げることは難しいです。
それに、イレギュラーな事故(餌を入れ過ぎた、雨が降り込んだ等)で突然全換水が必要になることもあります。
その様な時、私はバクテリアの繁殖に固執して、水替えを躊躇し、大切なメダカを死なせてしまうよりは、安全な水替えをお薦めしています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
みなさまのお役に立てると嬉しいです。