私がブログを書き始めた理由は、私の「アクアショップめだか屋SUN」にご来店いただくお客様向けに、簡単に飼育情報を提供する方法が欲しかったからです。
皆さまもメダカを飼育し始めて、様々な疑問で悩まれているのではありませんか?
今日は、実際に私の「アクアショップめだか屋SUN」にメダカを買いにきてくれたお客さまから相談された質問をまとめてみました。
どれもメダカ初心者の方が疑問に感じることばかりだと思いますので、是非ご覧ください。
最近の改良メダカブームで、これからメダカにチャレンジを考えていらっしゃる方や、既に飼育されていて育て方に悩んでいらっしゃる方は多いと思います。
私も、最初にグッピーを育てていた頃や、メダカを育てるようになってからもしばらくは、育て方に悩んだ時期があります。
正直ブリーダーになった今も日々試行錯誤、実験実験の毎日です。
今日は、私がお客さまとお話をする際、よく相談されることを中心に、メダカの育て方について書いていきたいと思います。
※サムネイル写真はチャチャめだかさんからいただいた「墨武(ボブ)」です。
【Q1】メダカの飼育容器について
メダカの飼育を考えている方から最初に相談されるのは、やっぱり飼育容器についてですよね。
一般に言われている飼育容器の選び方で大切なのはこの2点
①メダカは黒い容器の方が色がキレイなので、できるだけ黒っぽい容器を選ぶ
※水槽の場合は黒のバックスクリーンを貼る
②(重要)メダカに最低必要な水の量は 1匹×1リットル以上
めだか屋SUNでは、この2点を念頭に容器を選んでいただくようにお願いしています。
③メダカは黒い容器の方が色が揚がる(キレイ)
メダカは外敵から身を隠すために、保護色の機能を持っています。
そのため、白っぽい容器や透明な容器で飼育をすると、黒色を中心に体色が褪せてしまい、本来の美しさを楽しめなくなってしまいます。
例外的に「深海メダカ」「IBブルーメダカ」など、体内の輝きを楽しむメダカは意図的に白容器で色を飛ばして飼育することもありますが、可能な限り黒に近い容器をお薦めいたします。
メダカの適正水量は1匹×1リットル以上
これは最低ラインの水量とお考え下さい。
水量の確認方法は、飼育容器に2リットルのペットボトルで水を張っていただき、注いだペットボトルの本数(回数)×2匹以下でメダカを飼育していただければ大丈夫です。
メダカは集団を好む魚なので、多数飼育の方が元気ですが、飼育数が過密になるとどうしてもフンなどが増えて水質が悪化しやすくなります。
また、魚全般に言えることですが、狭い容器で過密に飼育すると成長が遅くなります。
ですから、稚魚や若魚の飼育で、小さいからと同じ水槽にたくさん入れてしまうと、なかなか大きくなりませんのでご注意ください。
【Q2】メダカにエアレーションは必要?
屋外飼育(外飼い)の場合
屋外飼育であれば、よほど夏場の高温の時期でなければエアレーションは不要です。
風が水面を波立たせるだけで、水中に酸素が溶け込みますので、風が吹く環境であれば基本的に酸欠は起こしません。ご安心ください。
ただ、エアレーションをしないと、特に夏場は水面にどんどん膜が張ってきて見栄えが悪くなるので、お好みでのご判断になります。
※夏場の高温時期で水温が30℃を超えるような場合や、水草が多い場合は酸欠を起こすリスクがありますのでご注意ください。
※エアレーションには水温を下げる効果があるので、夏にはお薦めですし、冬の越冬時期はエアレーションを止める方が水温維持に効果があります。
室内飼育
屋内は風が吹かず、水中に酸素が溶け込みにくいため、原則としてはエアレーションが必要になります。
原則と申し上げたのは、風が吹かなくても水面付近は自然に酸素が溶け込みます。
ですから、浅く広い容器で少ない数を飼育する場合は、エアレーションなしでも飼育できる場合があります。
厳密に、こんなサイズでこの匹数なら大丈夫ということは断定できませんし、環境で大きく結果が変わりますので、このあたりについては、ご自身でお試しくださいとの回答になります。
目安としては、魚が水面で口をパクパクさせると酸欠のサインと言われています。
ただ、メダカは水面にいることが多い魚なので、サインを見つけるのが難しいかもしれません。
メダカの飼育容器で悩んだら、小さくても凄く頑丈で、しかも価格が安いNVボックスの利用をお勧めしています。
大きな容器がご希望だったら、コンクリートが練れるくらい丈夫なトロ舟がおススメです!
飼育容器は可能な限り大きい方が水質が安定するので安心ですよ。
【Q3】水槽に敷く砂利やソイルなどについて
水槽に敷く素材もよく質問されます。
メダカは弱酸性から弱アルカリ性を好む魚と言われますが、私はメダカは絶対的に水質を弱アルカリ性にすることが大切だと思っています。
砂利やソイルの話なのにpH?と思いませんか。
理由はソイルが弱酸性、赤玉土も弱酸性、軽石なども弱酸性、鹿沼土は酸性が強く、砂利や砂は中性から弱アルカリ性となり、これが飼育水のpHに影響するからです。
酸性の素材を使用する場合は、酸性をアルカリ性に誘導する牡蠣殻とのセットでの利用が安心です。
その他、水草を楽しみたい方は水草にとっての栄養分が豊富なソイル一択ですし、川の雰囲気を楽しみたい方は石っぽい素材が雰囲気出ますよねといった使い分けで良いと思います。
とにかく、多孔質(スポンジのような形状の物質)であればバクテリアの住処として期待ができます。
ですから、素材がもつpHに応じて牡蠣殻などのpH誘導対策をすれば、基本的に見た目が好きな物を選んでいただいて大丈夫です。
phの確認はこんな試薬の利用が簡単です。
リトマス試験紙もありますが、試験紙タイプは色の変化が明瞭でないので判断しにくい印象があり、私は液体の物をおすすめしています。
phは思いのほか魚の体調に大きな影響を与えるので、たかがphと軽んじるのは危険です。
【Q4】メダカの水換え(水替え)について
屋外飼育ですと、けっこう「何もせずほったらかしだよ!」みたいなお話もよく聞きます。
間違ってはいませんが、鵜呑みするのはご注意ください。
ここで詳細は書きませんが、容器に水を張って1カ月くらい放置すると、自然にろ過バクテリアが繁殖して、水替えをしなくても自動で水を浄化してくれる水ができあがることは事実です。
ただ、①新しい水で飼育する場合は、ろ過バクテリアがいないため、水がどんどん汚れていきます。
②バクテリアの中で硝化菌と言われるアンモニアを分解するグループのバクテリアは、(原則)水中にしか存在できない(ろ材に定着できない)です。
そのため、水替えをするとせっかく増えた硝化菌が減ってしまいます。
※有機物分解菌はろ材に定着できますが、硝化菌は水中に浮遊しています。
①②より、水が汚れて水換え⇒せっかく増えた硝化菌を捨てる⇒バクテリアがいないから水が汚れる⇒また水換え
というサイクルに陥るため、ずっと水替えが必要になります。
ですから、水替えなし(正確には水替えが少なくて済む)の飼育のためには、③屋外で④割と大き目の容器(容器に対して少ない飼育数)で、⑤1ヶ月以上放置してしっかりバクテリアを増やした状態で飼育することが必要です。
また、バクテリアはメダカのフンや、フンが分解されてできたアンモニアなどを栄養源とします。
そのため、水を張った容器を放置する期間も、パイロットフィッシュ(犠牲にしてもかまわない魚)を数匹入れて、フンを供給する必要があります。
その他、水草はメダカにとって害がある成分を栄養として成長しますので、水草をメダカと一緒に入れておくと、水質を浄化する効果が期待できます。
※ただし、過剰な水草は日当たりを悪くしたり、酸欠のリスクがありますので、何事も程々にお願いいたします。
めだか屋SUNでは写真の自作点滴容器でゆっくり注水していますし、水替えの必要性も試薬でしっかり確認しています。
【Q5】ろ過装置の利用について
室内飼育に限ってですが(屋外でもエアレーションをされる場合は別ですが)熱帯魚用のろ過装置が使用できます。
(重要)メダカは水流が苦手です
そのため、ろ過装置を使用しても強さを最弱で使用することになってしまいます。
大型の外掛け式や外部フィルターを使用すると、十分に硝化菌の繁殖層を確保できるので大きな効果が期待できます。
しかし、投げ込み式のフィルターだけでは有機物分解菌しか維持できないため、効果は微妙だと思っています。
そのため、小さな飼育水槽で、太陽の紫外線による殺菌効果も期待できない室内飼育では、バクテリアの効果を期待せずに、まめな水替えが安全だと思います。
めだか屋SUNでは投げ込み式フィルターを補助的に使用しています。
写真の青い容器はバクテリアを繁殖させるための水槽です。ご興味があられる方はリンクをご参照ください。
【Q6】メダカの餌の選択について
メダカの餌の特性
メダカは水面に浮いた餌を食べる性質があります。
そのため、水に浮いて沈みにくい餌がお薦めで。
エサが沈んでしまうと、そのまま腐って水を汚してしまいます。
沈んで残ったエサは、スポイトなどで吸って捨てたり、シュリンプやレッドラムズホーンに食べてもらう必要があります。
ただ、ほとんどのメダカ用餌は、水にしばらく浮くようにできていますから、メダカ専用品を選んでいれば問題ないと思います。
※メダカ専用でない、おとひめ(餌の銘柄)などは、水に沈みやすいようなので、飼育に慣れた方向けのエサだと思います。
メダカの餌の成分
餌の成分の大半を占めるたんぱく質は、エサの種類や値段によって成分が様々なので、その辺りが選択のポイントだと思います。
たんぱく質は大豆などの植物性たんぱくと、フィッシュミールやオキアミール・イカミールなど動物性たんぱくに大別されます。
できれば、たんぱく質の種類が多い餌の方が、栄養のバランスも、メダカの趣向性も高いと思います。
その他、オキアミールなどに含まれるカロテノイドは、赤色(朱赤)の発色を上げる効果がありますので、楊貴妃などの色揚がりが期待できます。
どれにしていいかわからない方は、めだか屋SUNでは以下を使用しておりますのでお薦めいたします。
もっと詳しく餌の事を知りたい方はこの記事をご覧ください。
日が落ちる(消灯)の3時間前までには給餌を終わらせないと、消化不良でメダカが死ぬリスクが高まります。
成魚用
1.5cmまでの若魚用
稚魚用
【Q7】メダカが死んでしまうとご相談を受けたお客さまの実例
Q. 水は頻繁に変えているのに死んでしまうのはなぜですか
A.
①(そもそも)カルキ抜きをしていない
②メダカは水質変化に敏感なので、雑に水替えをすると弱ってしまい、最悪病気にかかってしまうことがあります。
(重要)水温変化の1℃は、気温の5℃に相当します。
水道から出したばかりの水を注ぐと、飼育容器の水と水温が大きく異なるため、メダカがショックを受けてしまいます。
水温が5℃下がると、人間にとって気温が25℃下がったくらいの寒暖差を、メダカは受けているのです。
(重要)水質(pH)は意外に変化しています
水道水は地域で異なりますが、水道管の腐食を防ぐために、中性寄りの弱アルカリ性に設定されています。
でも、ソイルなど弱酸性のものを飼育水に入れたり、フンなどで水が汚れると、水質は弱酸性に変わります。
その他、牡蠣殻をいれたり、飼育水がグリーンウォーター(日なたに置いた飼育水が緑色に変化した状態)になると、水質はアルカリ性に変化します。
それらを考慮せずに水替えをすると、メダカはpHショックを受けて弱ってしまします。
これらを避けるために、ペットボトルやバケツを使用して飼育容器のそばで半日、できれば1日水を放置して、自然に水温が同じになるのを待つことが大切です。
pHショック対策は、一気に水を換えずに全体の1/3程度を、定期的に交換すると良いです。
また、全換水するときは古水(前の飼育水)を少し混ぜたり、一部水替えであっても、注水を小分けにして徐々に足していくなど、メダカに優しい水換えを心がけると安心です。
間違っても、網で掬って別の水槽へポイってのはやらないでください!!
③雨対策の不足
意外に盲点が飼育容器への雨の降り込みです。
外でメダカを飼育していると、自然に飼育水が緑色に変化しグリーンウォーター(青水)と呼ばれる状態になります。
グリーンウォータは、緑色の成分である植物プランクトンがメダカのエサになり、植物プランクトンによる水の浄化効果があるため、メダカの健康にとって凄く良い水です。
ただ、グリーンウォーターは弱アルカリ性であるため、グリーンウォーターになった飼育容器に雨(酸性雨)が降り込むとpHが一気に変化し、メダカがダメージを受けてしまいます。
pH値で表現すると、8.5から5位まで値が急降下します。
また、雨は冷たいですから水温ショックも大きいです。
そのため、梅雨時期など雨が続くと、日照が不足することに加えて、上記の水質ショックでメダカがバタバタと死んでしまいます。
ですから、雨が予想できる日はできるだけ波板などでメダカ容器に蓋をする雨対策を行ってください。
Q. メダカが底に沈んでじっとしている。びくびくして落ち着かないなど。
A.
(水質がキレイな前提で、冬場などで水温が低い状況でない場合は)エアレーションを極力弱めてください。
(重要)メダカは水面付近での物音に敏感で、エアレーションに慣れていないと怖がることがあります
もし、水が綺麗で水温も十分温かいのなのに、底でびくびくしてる感じがしたら試してみてください。
エアレーションの影響でなさそうな場合はこちらをご参照ください。
(参考)生クロレラって実際どうなの?
生クロレラの使用については以下の記事をご覧ください。
最後に
ここまでメダカの飼育方法を記載してきましたが、いかがでしたか?
私がお店で相談された内容をもとに、初心者の方が気になるポイントを書き出してみました。
今後も新たな質問があれば追記していきたいと思いますので、役立つと感じていただいた方は定期的にご確認いただけると幸いです。
最後までありがとうございました。
実際の私の飼育場の風景です。
文章だけでは伝わらない雰囲気を感じていただけると思います。